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  • 2017/04/07 掲載

化粧品メーカーの世界ランキング:14位が3位P&G買収で激変、資生堂はロレアル追撃へ

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ファッション性とともに、高い技術力も要求される化粧品産業は、日本や欧米など先進国の独壇場だ。グローバルランキングの上位には、フランスのロレアルや英国・オランダのユニリーバといった巨大化粧品メーカーが顔を並べる。化粧品市場は先進国でも拡大しているが、成長著しいのは中国など東アジアの新興国。先進国の巨大化粧品メーカーもこぞって新興国市場の攻略に乗り出しているが、その旗手となっているのが資生堂を筆頭とする日本勢で、東アジアでニーズの高いスキンケア用品を武器に好評を博している。

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

野澤 正毅:1967年12月生まれ。東京都出身。専門紙記者、雑誌編集者を経て、現在、ビジネスや医療・健康分野を中心に執筆活動を行っている。

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化粧品は先進国の数少ない成長産業だ
(© blanche – Fotolia)


ファッション性と高度な機能性の両立

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 化粧品は、とりわけ、女性にとっては有史以来、生活必需品だったと言っていい。たとえば、日本でも、3世紀頃の古墳から化粧を施した女性の「埴輪(はにわ)」が見つかっており、正倉院には、紅や白粉でメイクアップした奈良時代の宮廷女官の肖像画が残されている。「いつまでも美しくいたい」という女心は、古今東西変わらぬもののようだ。したがって、化粧品産業の歴史は、人類の歴史と同じくらい古いわけである。

 化粧品は、アパレルや靴、バッグ、アクセサリーなどと並んで、“ファッション”の主要なアイテムの一つである。グローバルなファッションビジネスでは、トータルコーディネート志向が高まっており、アパレルを主軸とする有力ファッションブランドが、化粧品を手がける例は枚挙にいとまがない(化粧品メーカーが、アパレルなどに多角化するケースもある)。日本でも、かつて繊維メーカーだったカネボウやカメラフイルムメーカーの富士フイルムが化粧品事業に進出している。

 一方で、化粧品産業は、化学産業ともオーバーラップしており、化粧品部門を抱える大手総合化学メーカーも少なくない。化粧品は、皮膚に直接触れる性質上、安全性が厳しく求められ、日本では、化粧品の製造・販売が国によって規制されている。

 また、「シワの改善効果」が認められた化粧品が登場するなど、化粧品メーカーはハイテクを駆使して、美容効果を競って追求している。つまり、化粧品産業は、ファッション性と高度な機能性を両立させる必要があるわけだ。

 政治やビジネスのシーンを見ればわかるように現在、オフィシャルのファッションとして世界標準となっているのは、日本や欧米など先進国で発達してきた“洋装”である。また、化学産業をリードしているのも先進国である。したがって、当然のように、化粧品業界も先進国の企業が席巻している。

 化粧品には、スキンケア用品(化粧水・クレンジング・乳液など)、メイクアップ用品(ファンデーション・口紅・アイメイクアップなど)、ヘアケア用品(シャンプー・リンス・染毛剤など)、フレグランス(香水)といったさまざまな種類がある。

 中でも、スキンケア用品は、メイクアップ用品と違ってファッション性は低いが、市場規模が大きく、固定ユーザーを獲得するために重要な分野である。フレグランスは、欧米の化粧品業界では“花形”とされているが、日本やアジアではニーズが低いため、市場規模は小さい。

化粧品メーカーの世界ランキング、1位はロレアル

 美容用品売上高のグローバルランキングは次のとおりで、日米欧の化粧品メーカーや家庭用品メーカー、ファッション企業がトップテンを占めている。

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化粧品メーカーの世界ランキング

 世界第1位のロレアルは、女性で知らない人はいないだろう。美容室向けのヘアケア用品メーカーとして1909年に創業、現在では約140カ国に進出している。“ファッション王国”たるフランスを代表する化粧品メーカーだ。

 世界屈指の高級化粧品ブランド「ランコム」を擁し、「イヴ・サンローラン」や日本発のメイクアップアーティストブランド「シュウ・ウエムラ」もM&A(企業合併・買収)によって取得している。

 第2位は、欧州の代表的な家庭用品メーカーであるユニリーバだ。英国のリーバ・ブラザースとオランダのマーガリン・ユニが1930年に経営統合して誕生。ヘアケア用品の「ダヴ」「モッズ・ヘア」、男性用化粧品の「アックス」などのブランドは、日本でも浸透している。ちなみに、紅茶の「リプトン」、洗剤の「ジフ」も同社のブランドである。

 第3位は米国の家庭用品メーカーであるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)である。創業は1837年。マーケティングは世界トップクラスと言われ、日本でもすっかりお馴染みだ。化粧品の「マックスファクター」「SK-Ⅱ」、ヘアケア用品の「ヴィダルサスーン」「パンテーン」など著名なブランドを展開している。ただし、同社の美容用品事業は2016年10月1日付けで米国のコティに売却しており、今後はコティが世界3位の企業となる(コティについては詳細後述)。

 第4位は米国のエスティ・ローダー(創業は1946年)。1978年に日本上陸した同社の自然派化粧品「クリニーク」は一世を風靡し、海外ブランドが日本市場に根づくきっかけを作った。男性用化粧品の「アラミス」などのブランドも持つ。

 第5位の米国のコルゲート・パルモリーブ(創業は1923年)は、ユニリーバやP&Gと並ぶ世界的な家庭用品メーカーで、スキンケア用品や歯磨き、洗剤が主力製品。日本では知名度が低いが、ペット用品「ヒルズ」シリーズを投入している。

 第6位となった米国のジョンソン・エンド・ジョンソンは、日本でも有名なヘルスケア用品メーカー。医薬品や医療機器がメーンだが、スキンケア用品も製造・販売している。

 第8位のドイツのバイヤスドルフは、制汗・デオドラントスプレーの「8×4」やハンドクリームの「ニベア」(日本では花王グループと提携)で知られる。

 第10位のフランスのLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは、世界有数のファッション・コングロマリットで、高級ファッションの「ルイ・ヴィトン」「フェンディ」「マーク・ジェイコブズ」、高級酒の「モエ・エ・シャンドン」「ドン・ペリニヨン」「ヘネシー」、宝飾品の「ブルガリ」など多数のブランドを傘下に収める。化粧品では、「クリスチャン・ディオール」「ジバンシィ」「ケンゾー」などのブランドを手がけている。

 その他、第12位のエイボン・プロダクツや第20位のレブロンといった米国勢、第17位となった名門のフランスのシャネルは、日本でも愛用者が多いブランドと言えよう。

 第11位のアモーレパシフィックは韓国最大の化粧品メーカーで、中国事業を成長の原動力にしている。

 第13位の米国のエル・ブランズはSPA型のファッションショップチェーンで、アパレルだけでなく、化粧品などの美容用品も取扱っている。

 第14位は前述した米国のコティで、世界トップクラスの香水メーカーだ。2016年にP&Gから美容用品事業を買収し、フレグランスブランドの「Hugo」「Gucci」、カラーコスメティックブランドの「COVERGIRL」「Max Factor」、ヘアカラービジネスの「Wella」「Clairol」を傘下におさめた。今後は一気に上位に躍り出てくるだろう。

 第15位のヘンケルは、ドイツの家庭用品メーカーで、化粧品も製造・販売している。

【次ページ】日本の化粧品メーカーが中国で強い理由

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