頼られるシステム部門を実現する
資生堂の情報企画部は、その名のとおり、IT戦略策定、業務革新推進、ITガバナンス確立維持、運用保守管理などを行っており、開発・運用・保守は外部パートナーに委託している。
資生堂の情報システム部門である情報企画部がユニークなのは、彼らがユーザー部門から頼りにされていることである。こう言うと、意外に思われる方がいるかもしれない。しかし、大企業の中にも、経営者やユーザー部門から頼りにされていないシステム部門は決して少なくないのだ。この背景には、システム部門が、技術(IT)の修得を中心に人材を育成し、事業や業務の知識・ノウハウが不十分で、ユーザーに言われたことしかやらないという実体がある。
資生堂の場合、ユーザーは、システム化検討の早い段階で、情報企画部に相談を持ちかける。それは情報企画部に、IT投資に見合う以上のリターンを実現する、業務改革方法のレビューやアドバイスをする能力があるからだ。
この能力は、主に、資生堂の人事政策によって実現されていると言える。資生堂では、スタッフ部門には現場経験者を配属するという基本方針がある。情報企画部の場合、マーケティングや販売、生産、経営企画などの現場で、5年~10年のキャリアを積んだ人間が、配属される。IT関連の学部を出た新人を、最初から情報企画部に配属することはないのである。