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- 2017/05/24 掲載
「常識も変わっていく」──デジタルで変わるコミュニケーションと、その先にある未来
2030年には世界の航空機の42%が「アジア発、アジア着」になる
アドバタイジング・ウィークとは、マーケティング・コミュニケーション業界のグローバルリーダーが一同に会する世界最大級の祭典だ。同イベントが始まったのは、2004年の米ニューヨーク。そして昨年、初めての「アドバタイジング・ウィーク・アジア」が開催され、今年も5月29日~6月1日の4日間、東京で開催されることが決まった。東京で開催する意義について、アドバタイジング・ウィーク最高経営責任者 マット・シェクナー氏は次のように語る。「東京は米ニューヨーク、英ロンドンに次ぐ、世界3番目の経済規模を誇る都市。活気溢れるビジネスシーンをはじめ、歴史的な名所や世界でもたぐいまれなるイノベーション感覚がある。そういう東京の持つ力に私たちは多いに期待しています」(シェクナー氏)
さらにシェクナー氏は、東京が位置するアジアという地域が広告やマーケティング、メディア、テクノロジーの各業界において、世界でもトップレベルの急成長を遂げていることも理由に挙げる。
「2030年にはあらゆる世界の航空機の42%がアジア発、アジア着になると言われています。つまり、今後、世界におけるアジアの存在がますます大きくなっていく」(シェクナー氏)
グーグルやフェイスブック、日本マクドナルドなどバラエティに富んだ豪華な登壇者
キーノート・スピーチは12コマ用意。グーグル グローバル・アドバタイジング担当マーケティングディレクターのダン・テイラー氏、フェイスブック 最高製品責任者のクリス・コックス氏、日本マクドナルド代表取締役社長兼CEOのサラ・カサノバ氏、P&Gジャパン代表取締役社長 スタニスラブ・ベセラ氏、SUBARU 代表取締役社長の吉永 泰之氏など、豪華なラインナップとなっている。
「彼らのセッションを聞くことで、広告およびマーケティング業界が今後どういう方向に進んでいくか、そのエッセンスをつかめるはず」とシェクナー氏は力強く訴えかけた。
「彼氏彼女の会話」に勝るキラーコンテンツはない
アドバタイジング・ウィーク・アジア事務局長の笠松 良彦氏によるプログラム内容の紹介の後、「デジタルネイティブのその先へ 『変わりゆくコミュニケーションの未来』」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。パネラーを務めたのは、アンカースター 代表取締役の児玉 太郎氏、ブルーカレント・ジャパン 代表取締役社長の本田 哲也氏、LINE 上級執行役員の田端 信太郎氏、そして笠松氏がモデレーターを務めた。ここからは、その内容をダイジェストでお伝えしよう。
モデレーター:これから5~10年先の未来、コミュニケーションはどう変わるとお考えでしょうか。
児玉氏:未来のコミュニケーションにおいて大きな変化は、言語障壁がなくなること。おそらく、世界中の誰とでも普通に日本語でコミュニケーションできる時代が来ます。言語障壁がなくなることで、日本人が海外のチームと仕事をしたり、その逆に海外の人が日本のチームと仕事をしたりする未来が待っているのでは。
本田氏:私は仕事柄、みなさんがどんな人から影響を受けるかを常に着目しています。今、注目しているのはマイクロインフルエンサー。すごい有名人ではないが、数万人から数十万人のフォロワー数を持っている人が、若い世代の購買行動に影響を与えています。しかも今後、言語の壁がなくなることで、日本の若い人たちが世界の若い人たちに影響を与えられる可能性も出てくる。動画では世界に影響を与える日本人のユーチューバーも登場しているが、ブログなどでは難しかった。その壁が取り払われていくと思います。
田端氏:デジタルネイティブ、スマホネイティブである若い人たちにとって、LINEは最大のコミュニケーションツールになっています。彼氏や彼女と話す小さなコミュニティでの会話に勝るキラーコンテンツはない。このようにコミュニケーションのあり方が変わることで、広告のあり方も変わっていく。そして私たちはその状況にどう向き合っていくか、それがこれから考えなければならない課題だと思います。
【次ページ】 コミュニケーションのあり方だけではなく、常識も変わっていく
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