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- 2017/06/23 掲載
ダイキン工業に聞くIoT戦略、現場で実現した「25年前からの発想転換」とは
IoTを経営の重要テーマに据えるダイキン工業
木下氏:弊社は、2016年6月に2020年までの戦略経営計画「FUSION20」を発表しましたが、これを実現するためには、IoTへの取り組みが不可欠だと考えています。
FUSION20では、基本的な枠組みの一つとして「技術・モノづくりの高度化」を挙げており、重点的なテーマとして「TICを核とした切れ目ない差別化技術・商品の創出」と「空調事業を支えるモノづくり力の強化」を掲げています。
TICとは、2015年の11月にオープンしたテクノロジー・イノベーションセンターという研究施設のことです。異業種・異分野の技術を持つ企業や大学、研究機関との連携・提携を通じて、技術革新を生み出すことを目的に設立されました。現在は約700人の技術者が、さまざまな研究を同時並行で行っています。
TICでは社外の大学や企業との共同研究も積極的に進めており、たとえばNECさんとは、AI・IoTを用いて知的生産性を高める空気・空間の実現に向けた共同研究を行っています。
弊社が持つ「空気を最適にコントロールする技術」と「空気・空間が人に与える影響に関する知見」と、NECさんの有する顔認識技術を活用し、人の表情や声から、その場の空間が快適かどうかといった人の「感情」や「体調」をAIで分析し、空調を制御するという実証実験です。
──IoT活用のソリューションとしては、すでに御社は「DAIKIN D-irect(ダイキン・ダイレクト)」や「あんしんスカイエア」など、空調機器とインターネットを接続するサービスを提供されていますね。
木下氏:はい。ネットワークに接続して情報を収集したり遠隔操作したりすることには、以前から取り組んでいます。たとえば、「エアネットサービス」という空調機器の省エネ制御から保守管理まで一括で遠隔操作するサービスは、1993年から提供しています。
当時は電話回線しかありませんでしたが、エアコンのガスの圧力や室外機の温度などをセンサーで取得し、異常を検知したらサービスエンジニアが2時間以内に急行するサービスです。その意味では、25年前から、現在のIoT的な取り組みを続けてきたといえますが、今後は空調機のようなハードウェアを提供するだけでなく、快適な空間を提供するための「サービスでの差別化」も必要になってくると考えています。
【次ページ】IoTで電気使用量を16%削減、省エネ大賞を受賞
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