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2017年08月18日

徳力氏とワコール、ミキハウス、マンダムのマーケターが激論、SNSの使いどころは

スマートフォンやソーシャルの台頭により、顧客へのブランド認知や関係構築の手法はどのように変わってきているのだろうか。マンダム、ワコール、ミキハウスで活躍する3名の女性マーケターが登壇し、徳力 基彦氏をモデレーターに、マスとソーシャルにおけるターゲットの選定の考え方やクリエイティブ、気になる炎上への対応まで議論を行った。

執筆:Miho Iizuka

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オンラインやテレビCM、店舗との連動など、組織や職種の垣根を越えた立体的な戦略立案、施策運用が求められている

マンダムがSNS活用で注目する「エントリー世代」

 スマートフォンやSNSの普及によりデジタルシフトへの注目は集まるものの、従来のマスメディアを覆すほどのリーチを取ることは難しいのも現実だ。7月18日に開催された「アドテック関西」の京都で開催された『PRの視点から、ソーシャルとマス広告の使い分けを考える』では、生活消費財メーカーから3名の女性広報・宣伝担当者がスピーカーとして登場。広告のみならず、広報・宣伝・販促、それぞれの垣根も越えた戦略立案、施策が課題となっている現場の状況に鑑み、PRの観点から各社どのような体制でマスとソーシャルに取り組んでいるのか、モデレーターの徳力 基彦氏の進行によりそれぞれプレゼンテーションが行われた。

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アジャイルメディア・ネットワーク 取締役 CMO 徳力 基彦氏。
アジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。ソーシャルメディアの企業活用についても啓発を続ける


 この2〜3年、広報・宣伝とテレビCMも並列して考えるようになったと語るのはマンダムの上森 奈美子氏だ。独特な世界観で作りこまれたテレビCMの印象も強い担当ブランド「GATSBY(ギャツビー)」は、マンダムの中ではエントリーモデルとして位置づけられている。

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マンダム 上森 奈美子氏。
男性化粧品ブランド「GATSBY(ギャツビー)」のデジタルマーケティング全般を担当

「テレビCMでは、人気タレントのみやぞんさんを起用。それとは別に、エントリー世代がタッチポイントとして多く利用するSNSとの親和性を考慮し、地上波には流れないWeb動画を作成、YouTubeなどで展開した。これには近畿大学グリークラブの皆さんに出演を協力いただいた」(上森氏)

 続いて、数あるブランド・商品の広報宣伝担当として各種メディア対応を行うワコールの山本 圭奈子氏。子どもからお年寄りまで、すべての年齢層に対してマスとソーシャルは使い分けていると説明する。

「取扱店舗が多いブランドや、単体でのアイテム訴求や顧客ターゲットが明確なブランドでは雑誌を活用している。一方、若年層をターゲットとしたブランドや販促として購買に繋げたい商品ではソーシャルを活用し、マスとの組み合わせ事例も出てきている」(山本氏)

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ワコール 広報・宣伝部 広報・宣伝課 山本 圭奈子氏。
商品PRを中心に、広報・宣伝業務に携わる


 “身体の動きに合わせてくれるブラ”というコンセプトで今年春に発売した新商品のノンワイヤーブラ「SUHADA MOTION(スハダモーション)」では、ライフスタイルに興味を持つ女性をターゲットに“ヨガ”というフックでWeb動画を作成、インフルエンサーを起用したInstagram(インスタグラム)での情報拡散も行った。

「ファッションアイテムのひとつとして、たとえば1投稿に2,000いいね!がつくようなインフルエンサーを使い始めたのがここ数年。特に去年今年に入ってからソーシャルでの施策はInstagramを使うことも増えている」(山本氏)

 しかし、Instagramやソーシャルでの拡がりを狙う施策においては、実際やってみないと解らないところも多く、表からは見えないインナーウエアのブランディングということで、特にビジュアルを用いたソーシャル拡散にはクリエイティブとして何が正解なのか頭を悩ませることも多いようだ。

「なかなか下着というアイテムをみんなが見ているところに載せるのは難しい、ということや、力を入れて動画制作を行ったものの、思ったよりもバズらなかった、ということがあった」(山本氏)

 また、徳力氏よりギャッツビーのWeb動画について効果を尋ねられた上森氏は、「効果指標についてはこれから」と述べつつも、参加者の「親近感」がポイントとなっていると述べた。

「参加した学生同士で『あの動画あがった?』『あがったよ!』という会話が自然に起きている。出演した学生はインスタグラマーのような特別な学生ではなく、いたって普通の子たちだが、身近な人が動画に出ている親近感が後押しとなり波及効果につながっているようだ」(上森氏)

近畿大学グリークラブが出演するギャッツビーのWeb動画。身内や親近感から波及する“個”のインフルエンスパワーに注目

ミキハウスは「クオリティブランド」に特化

 ミキハウスの高坂 一子氏は「商品ごとにマスやソーシャルを使い分けることによる成功事例はまだない」と述べる。昨年はテレビ広告を刷新。“君のためにできること全部”という直球のコピーを打ち出し、商品のディテールには一切触れず“赤ちゃん”にフォーカス。エールフランスの機内誌にもブランディング広告を掲載、メッセージだけをシンプルに伝えている。

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三起商行 マネージャー 高坂 一子氏。
社内のデジタル担当は同氏1名で新商品発売日には店頭応援にもかけつける


「これまでも子ども服のブランドとして歩んできたが、この4年ほどは“マタニティ”“ベビー”といった入口の部分から、キッズの成長や年間スケジュールに沿って提供するプロダクト・クオリティを深め、グローバルに伝える戦略を取っている」(高坂氏)

 このテレビCMは“癒される動画”として情報番組に取りあげられ、パパやママたちからのメッセージをモチーフにした47本のWeb動画も展開。YouTubeとFacebookページあわせて再生数100万回以上を叩き出している。

「赤ちゃんの肌は繊細なので、肌着がどれだけ大事かということ、クオリティブランドだよということを伝えていきたい。どちらかというとマスでのブランディングをしっかり見ていただきたいという思いはある」(高坂氏)

 ネットでもワンビジュアルで伝えるコミュニケーションが主流になりつつある。特定層へのリーチ、販促手法としてソーシャルを用いるという事例は多いが、マスでのPR・ブランディングをきっちり行った上でソーシャルを受け皿とするミキハウスの戦略は王道感すらある。

説明の多い広告が増える中、シンプルで太いメッセージのミキハウスのクリエイティブは理にかなっているように映る

【次ページ】“これはやってもうた!” 今だから話せる失敗事例から学んだこと

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