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  • 2017/09/14 掲載

ケント・ギルバート氏と考える、日本国憲法の未来

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連日のようにメディアで報道される北朝鮮のミサイルによる挑発。これに対し、トランプ政権はもし、グアムに何かあれば「誰も見たことのないような事態が北朝鮮で起きるだろう」と警告。一歩も引かない姿勢を見せる。両者のにらみ合いは安全保障面だけでなく、日本経済にも大きな影響を与え、日経平均が大幅に下落するという可能性も。この状況で、私たちにするべきことはあるのだろうか? カリフォルニア州弁護士資格を有し、法律コンサルタントとして長年日本で活躍するケント・ギルバート氏の著書『米国人弁護士だから見抜けた日本国憲法の正体』(角川新書)を読み解きながら考察していきたい。

中森 勇人

中森 勇人


中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。

公式サイト  http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/

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カリフォルニア州弁護士資格を有し、法律コンサルタントとしても活躍するケント・ギルバート氏

メイドinアメリカの憲法で日本は守れるのか

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 北朝鮮国内が混乱して一番困るのは日本と韓国だ。ミサイル攻撃の脅威に加え、難民発生やそれに乗じた武装集団の入国など、過激派組織IS問題で発生した難民やヨーロッパ各国で勃発しているテロを見ればとても他人ごとでは済まされない。

 ケントさんは著書の中で、「憲法9条第二項を削除して国防軍を整備し、専守防衛の方針を見直して10年くらい、じっくり時間をかけて行い、最終的には日本の国柄や独自性も考慮した、まったく新しい自主憲法を制定する手順が一番良い」と主張する。

 ちょっときな臭い感じもするが、ケントさんの言い分には合理的な面が多々ある。

 まずは日本国憲法の成立過程について。これについてアメリカ人であるケントさんは「日本人の皆様、極東を混乱させてしまう憲法を押しつけて申し訳ありません」とやや自虐的に話す。

 日本国憲法は戦後当時の占領側であるGHQが英文で書いたものを、日本語に直訳して編纂されたものだと言われ、その証拠として「文章が日本語としておかしい」とケントさんは指摘する。

 2016年8月には、当時のバイデン米副大統領が演説の中で、「(日本が)核保有国になり得ないとする日本国憲法を、私たちが書いたことを彼(トランプ氏)は知らないのか」とトランプ氏の教養のなさを揶揄する際にこの件に触れている。

 このように、他国が立案した憲法が施行され、実行されている国は世界中探しても日本しかないと言うのだ。

 また、施行以来一度も改定されることは無く、時代の動きに対応せずそのままであることも。

 実際、アメリカの憲法は度々改正されている。有名なところでは奴隷制度の撤廃や黒人の参政権など、制度が時代に合わないと憲法典を改正してきた。

 日本と同じ議院内閣制を採用しているイギリスでも、憲法改正を何度も経験している。

 第二次世界大戦の敗戦国であるドイツに至っては60回も憲法改正を実施し、再軍備(1965年)や緊急事態法制(1968年)などを、国内の激しい対立の中で成立させてきた。

 日本を取り巻く状況は戦後の冷戦を経て、大きく変化してきた。韓国との竹島問題や尖閣諸島を狙う中国の動きなど、ともすれば一発触発の危機と隣り合わせなのである。

 日米安保で同盟国であるアメリカとの関係も、トランプ大統領の就任で「自分の国のことは基本的に自分で守るように」と宣告され、国防上の自立を求められている。

 ケントさんは「アメリカという国は、国益のためなら時として戦争もいとわない。一方で国益にならないことには一切興味がなく、アメリカは日本ために戦うべきだなんて思っているはずがないのです」とアメリカの本音を漏らす。

 世界情勢が激しく動く中、従前とした、それもアメリカが作った憲法のままで安全保障が担保できるのか、とケントさんは警鐘を鳴らす。

【次ページ】日本は叩きやすいから北朝鮮もつけあがる

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