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  • 2019/07/01 掲載

クラウド管理ツール「12の機能」と全34種を紹介、カオスマップが示すチャンスとは

ガートナー 桂島航 氏が解説

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多くの業務アプリケーションがクラウド上でネイティブに構築されるようになり、インフラに求められる要件が大きく変わりつつある。そのような時代の新しいテクノロジーは、ITベンダー、システムインテグレーター(SIer)のビジネスにどのようなインパクトを及ぼすのか。ガートナー シニア ディレクター アナリストの桂島 航氏が、ITベンダーやSIerが今後目指すべきサービスの方向性を解説した。
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クラウドシフトの現在地とは
(Photo/Getty Images)

クラウドシフトとは何か

 ITベンダーやシステムインテグレーター(SIer)にビジネスモデルの変革を迫るほどの大きな影響を与えている動きがある。オンプレミスで動いているシステムをクラウドに移行する「クラウドシフト」だ。

 ガートナーが実施したグローバル調査によると、「エンタープライズ企業の10%がこれまで自社で保有してきたデータセンターを廃止し、クラウドへシフトしている」という。そして、「企業の80%が2025年までにデータセンターを閉鎖する」と同社は予測している。

 基本的にはオンプレミスを前提としてきたITベンダーやSIerは、こうしたクラウドシフトの流れの中で、自らをいかに変化していく必要があるのだろうか。

クラウドシフトの背景にあるものとは

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 ガートナーはグローバルの最高情報責任者(CIO)を対象とする調査で、さまざまなテクノロジーについて、2019年に新規または追加で“投資を増額する領域”と“投資を減額する領域”を聞いた。

 その回答によると、「ビジネスインテリジェンス(BI)」「サイバーセキュリティ」「クラウドサービス」などのテクノロジーへの投資は増額するという。一方、「インフラとデータセンター」への投資を35%の企業が減額すると答えている。これは一項目だけ突出した結果となっている。日本のみを対象とした同調査でも、28%の企業が同領域への投資を減額すると答えており、やはり際立っている。

 こうした傾向の背景について、桂島氏は「新しいアプリケーションだけでなく、基幹系システムも含めてある程度をクラウドへ移行できるという目処が立っているからだと思います。長期間の投資になりがちなデータセンターをずっと自分たちで持っておくべきなのかどうかを企業は考え直し、その領域への投資を減らす方向に向かっているということです」と説明する。

 では、どれくらいのスピードで、ワークロードがクラウドへシフトしていくのか。

 ガートナーの調査では、2016年には80%近くだったオンプレミスのシェアが徐々に減少している。その一方で、コロケーション、ホステッドなどとも呼ばれる「オフプレミス」は増加、「クラウド」とともに増え続けている。2021年ごろには、オンプレミス/ホステッド/パブリックがちょうど3分の1ずつシェアを分け合うと同社は予測する。

 桂島氏は「今後数年の内にオンプレミス/ホステッド/パブリックにまたがる“ハイブリッドクラウド”を管理しなければいけない時代がエンタープライズ企業には訪れます。それをどうサポートしていくかが、ITベンダーやSIerにとって非常に重要なイシューとなっていくでしょう」と語る。

クラウドシフトで成長余地が大きい領域は

 クラウドシフトに伴い、新しい市場が生まれている。IaaSの市場は成長しており利益率も高いが、寡占化が進んでいて大きな投資ができるITベンダーだけが市場で成長を続けられる傾向が生まれている。そこに日本のベンダーが入っていくのは難しい状況だ。

 桂島氏は「インプリメンテーションサービス」と「マネージドサービス」の2つの領域に活路があるとの見解と示す。

 インプリメンテーションサービスは、「マイグレーションサービス」と「デベロップメントサービス」で構成される。クラウドへの移行支援、あるいはクラウド上での新規開発、システム統合を行うサービスだ。

 マネージドサービスは、クラウド上のシステムの運用を担う。ガートナーは、IaaSやPaaSに勝るとも劣らないくらい大きく成長していくものと見ている。

 中でも、当面一番規模が大きいのは「リフト&シフト方式でのオンプレミスからクラウドへ移行」だ。それに次ぐのが、SaaSへのリプレース。サーバレスなどのIaaSやPaaSを使って既存のアプリケーションを書き換えていくのは意外にもレアケースだという。

 「これは日本だけでなくグローバルの傾向です。ビジネスボリュームの大きいリフト&シフトに対してどう取り組んでいくかが非常に重要です」と桂島氏は話す。

ガートナーの考えるクラウド管理「12の機能」

 ガートナーの考えるクラウド管理には、主に12の機能がある。これらすべてをエンドユーザーが行うのは、手間もかかりかなり難しいというのが実情だろう。

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ガートナーの考えるクラウド管理とは
(出典:ガートナー)

<基本的な管理>
  1. ・ガバナンスとポリシー管理
  2. ・サービスリクエスト管理
  3. ・プロビジョニング、自動化、オーケストレーション
  4. ・モニタリング、メータリング
  5. ・IT投資評価&PDCAの仕組み
  6. ・マルチクラウドブローカー


<クラウドにより特化した管理>
  1. ・クラウド移行と災害対策
  2. ・コストの可視化と最適化
  3. ・キャパシティとリソース最適化
  4. ・セキュリティおよびID管理
  5. ・サービスレベル管理
  6. ・継続的な構成の自動化


サードパーティのクラウド管理ソリューション34種

 AWSやAzureなどのパブリッククラウドには、これらの管理を行うための機能が各種提供されている。ただ、多数に及ぶため、それらを理解して使いこなすことは負担が大きい。

 最近では、そのような煩雑な管理を楽にするためのサードパーティのツールも出てきている。しかし、現状ではプレイヤーが多く、この後どこが勝ち残るかはまったく分からない状況だ。何より、すべてをカバーできるツールは今のところ出てきていない。

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主なサードパーティのクラウド管理ソリューション
(出典:ガートナー)

(図の拡大はこちら

◆主なサードパーティのクラウド管理ソリューション
<基本的な管理>
●ガバナンスとポリシー管理
・DivvyCloud
・CloudHealth Technologies(VMware)
・CSC
・Scalr

●サービスリクエスト管理
・RightScale
・ServiceNow
・IBM
・Saclr
・Embotics
・CloudBolt
・CSC

●プロビジョニング、自動化、オーケストレーション
・CliQr(Cisco CloudCenter)
・HashiCorp
・VMware
・CloudBolt
・Embotics
・Red Hat CloudForms

●モニタリング、メータリング
・Datadog
・VMware
・IBM
・Embotics
・Red Hat Cloudforms

●マルチクラウド・ブローカー
・IBM
・Embotics
・CloudBolt
・RightScale
・ServiceNow
・IBM
・Saclr
・Embotics
・CloudBolt

【次ページ】「クラウドにより特化した管理」とは、関連企業とサービスを紹介

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