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  • 2019/08/01

ドコモの5G戦略:トヨタ、コマツ、ソニー、フジテレビらと描く青写真

先ごろ開催された最先端ネットワーク技術の祭典「Interop Tokyo 2019」。基調講演に登壇したNTTドコモ 5Gイノベーション推進室長の中村 武宏氏は、いま世界中で商用化が進められている5Gをテーマに、同社が数多くのパートナーと実施してきた直近の実証実験の事例を一挙に公開した。さらに新たに見いだされた課題や、5Gの将来についても触れた。

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NTTドコモ
執行役員 5Gイノベーション推進室長
中村 武宏氏

協創事例は150件、ドコモが移動体通信の“雄”である理由

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 NTTドコモは、すでに5G商用化に向け、多様な業界のパートナーと、さまざまな実証実験を行っている。ここでは、ユニークな5Gのシーズ(種)について紹介する。

 これまで移送通信システムは、ほぼ10年ごとに進化を遂げてきた。1980年代の1G(アナログ方式)から1990年代には2G(デジタル方式)に移り、2000年代に3G(W-CDMA/HSPA)の時代に入った。そして2010年代に4G(LTE/LTE-Advance)となり、200Mbps超の高速データ通信を実現。いよいよ2020年に向けて、より高速・大容量な5Gの世界に突入する。

 このような中で、NTTドコモはDXの柱として5Gを推進しているところだ。現在、5Gのユースケースは「高速・大容量化」「超多数端末」「超高信頼・低遅延」に分類され、それぞれで実証を行っている。5Gの意義は、増加するトラフィックへの対応だけでなく、さまざまな業界とのコラボによる新産業の創出にある。

 中村氏は「2020年までに5Gの商用サービスを導入しますが、その前の2019年にラグビーワールドカップでプレサービスを行う予定です。5Gの展開イメージは、まず高速・大容量を必要とする都市部エリアから始まりますが、スポット的に地方創生にかかわる郊外や、オリンピック・パラリンピック施設の近くでも導入が予定されています」と語る。

 ドコモの周波数割り当ては3.7GHz帯と4.5GHz帯、および28GHz帯だ。帯域幅や電波の伝搬特性により、適切なユースケースを提供していく方針だ。現在、5Gのサービス展開に向けて、2600社超もの企業が幅広く参画しているという。最も多いのは製造業(18%)だが、次にメディア(8%)、建設・不動産(7%)と続く。

 同社では、ドコモ5Gオープンパートナープログラムを提供し、技術的な情報共有から、シーズとニーズのマッチング、5Gオープンラボやオープンクラウドで5Gを体験できるようにしている。こうした施策の結果もあり、すでに協創事例は150件にも上る。代表的な事例について見ていこう。

コマツやトヨタ事例、超低遅延でロボットの遠隔操作

 5Gの活用で特に有用な分野は、人手不足が深刻な建設・土木などの現場だ。建機の遠隔操作や鉱山機械の制御については、コマツとの共同開発の事例がある。コマツは2015年から独自の「スマートコンストラクション」を発表し、最先端の建設テックを牽引してきた。ただし通信は、従来の省電力無線やWiFiで課題が残り、高精細映像は遅延が起きていた。

「そこで5Gを利用すれば、遠隔操作もスムーズに行えます。ドコモ東京本社のコックピットから、千葉にあるコマツのテストフィールドまでを5G通信でつなぎ、無人ブルドーザーのブレードの映像を見ながら、遠隔操作する実験を行いました。すでに商用化の準備も始まっています」(中村氏)


 同様に産業界で期待されているのが、5Gによるロボット遠隔操作のユースケースだ。この実験はトヨタと行ったもので、同社の第三世代ヒューマノイドロボット「T-HR3」と、マスタ操縦システム間で超低遅延な5G通信を利用している

「災害現場や過酷環境での作業を代わりにヒューマノイドロボットにやってもらいます。人型ロボットは、レバーやパネルの操作などに対応できるからです。遠隔で作業をする際に重要な点は、映像だけでなく、力覚です。力の感覚がないと操縦者が非常にやりにくいので、これも実現しています」(中村氏)

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マスタ操縦システムによる、ヒト型ロボットの遠隔操縦。超低遅延な5Gを利用し、さらに力覚フィードバックも実現した

(出典:NTTドコモ 報道発表)

日産やソニー事例、5Gが新しいクルマのカタチを創造する

 モバイル系でも5Gの高速・大容量通信は非常に役に立つシーンがある。たとえば医療分野だ。東京女子医科大学が開発した遠隔スマート治療支援システム「SCOT(Smart Cyber Operating Theater)」による高度医療の実例が挙げられる。

 SCOTは手術・機器の情報をすべて吸い上げて一元的に術者に提供するシステムだ。これに超高速・低遅延通信が可能な5G移動局を導入。モバイル診断車に手術施設を積んで、病院搬送が困難な大規模事故や災害現場などの手術に役立てるというものだ。

「現場の診断車と、移動先のモバイル戦略デスクを5Gで接続し、共通画面を見ながら手術の戦略を練って、遠隔で現場の執刀医を支援できます。5Gによる高精細な医療映像を同時かつリアルタイムに伝送することで、高水準な医療が実現できるでしょう。実際にバルセロナで実証実験を行い、脳外科手術に活用しました」(中村氏)

 ドコモは、日産自動車ともパートナーシップを組んでいる。同社の「Invisible-to-Visible」という技術と5G通信を組み合わせた実験を行っている。これは車内と車外の人のコミュニケーションを進化させるトライアルだ。車外ユーザーを3Dアバター化して、走行車両に5Gで伝送し、MR(Mixed Reality:複合現実)技術によって車内にアバターを投影する。これにより、車内と車外の人が一緒に同乗しているような感覚にするものだ。また逆に車両の全周囲映像を車外ユーザー側に5Gで伝送し、VR技術で可視化もできる。


 この実験は、2019年3月に日産の追浜テストコースで行われたばかり。「車内の人がエアログラスを装着すると、すぐにアバターが現れて、お互いに会話したりと楽しい体験ができる」(中村氏)という。

 ドコモはソニーとも実証実験を進めている。ソニーのニューコンセプトカート「SC-1」の4面に4K液晶ディスプレー・BRAVIAを配し、超好感度カメラセンサーから360度ビュー映像を表示。また5G無線でストリーミング映像で流したり、サイネージ的な利用も可能だ。遠隔運転もゲーム機・PS4のリモコンから行える。

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ソニーのニューコンセプトカー「SC-1」
(出典:ソニー 報道発表)
「ドコモのクラウド基盤上の画像認識AIと組み合わせたサービスを試みました。カート周辺にいる人の画像をクラウドで分析し、老若男女の属性を付けて、その人にマッチした広告を流す実験です。このカートは、ショッピングモールやテーマパーク、観光地でも使えますし、交通弱者が多い地域での活用も考えられます 」(中村氏)

【次ページ】フジテレビやパナソニックらとは、どのような構想を描くのか

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