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  • 2011/06/03

【対談インタビュー】CIOに聞く情報システム部門の自己改革<第9回>コマツ 山根宏輔氏

コマツ[CIO・システム部長に聞く、対談インタビュー連載]

ユーザー部門の業務改革を期待される情報システム部門の中には、自部門の改革も着実に進めているところがある。彼らは、どのような自己改革を成し遂げたのだろうか。本連載では、情報システム部門のトップに自ら語っていただこう。第9回は、コマツ(小松製作所) 執行役員 情報戦略本部長の山根宏輔氏に話をうかがった。

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

1958年生まれ。大手コンサルティング会社を経て現職。
製造業、情報サービス産業などを中心に、経営戦略、事業戦略、業務革新、研究開発戦略に関わるコンサルティングを行っている。主な著書に、『ダイレクトコミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる研究開発革新』(日刊工業新聞社)、『システム提案で勝つための19のポイント』(翔泳社)、『調達革新』(日刊工業新聞社)、『落とし所に落とすプロの力』(リックテレコム)、『団塊世代のノウハウを会社に残す31のステップ』(日刊工業新聞社)、『ATACサイクルで業績を150%伸ばすチーム革命』(ソフトバンク クリエイティブ)などがある。

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

これまでの連載

 コマツでは、現在、情報システムの中期計画を掲げ、グローバルグループのITコスト削減やシステム強化を進めている。山根本部長はその中で、目指すべき姿を経営者と握り、グローバルグループに対してリーダーシップを発揮し、強力に改革を進めている。

ITコスト削減を経営者と握り改革を進める


 山根氏が情報システム部長に就任して半年後に、リーマンショックが起こった。これによって、それまでの好調な事業成長にブレーキが掛かった。山根氏は、これをシステム機能の改革の好機と捉えた。そして矢継ぎ早に、事業成長に合わせて膨らんでいたITコストを適正化する仕組み構築に取り組んだ。

 まず実施したのは、権限機能の集約である。IT予算をすべてシステム部門に集約し、ユーザー部門へのコスト配賦も止め、グロスでのコストカットをシステム部門の責任で行うことを経営者にコミットした。

 また、VMO(ベンダ・マネジメント・オフィス)を作って、ベンダとの価格交渉や契約を厳しくレビューする仕組みを作った。VMOによって、他社との価格や契約内容の比較に基づく、妥当な価格相場観の把握、これに基づく厳しい価格査定、契約条件の見直しなどを進めた。VMOは金額的にも大きな効果を生み、ベンダの対応も、厳しいレビューに応じて変わってきた。今後は、この仕組みを維持する段階に入った。

 さらに、グローバルなアセットの集約を進めている。EAグループを設置し、世界のグループ企業のIT資産台帳をまず作成。基幹業務のアプリケーションやITインフラのグローバル統合を開始している。今後は、マスターのグローバルな統合化や、ワークスタイルのグローバルでの高度化にも取り組んでいく。

 山根氏が前職の財務部からシステム部門に移って気が付いたのは、システム部門に他社との情報交換の機会が多くある点だ。財務部門は、会社の数字を扱っているため、そう簡単に他社と交流できない。これに対してシステム部門は、互いに情報を出し合い、自社の弱みや、先進企業の改革事例を学ぶことができる。そこで、この有利な環境を最大限活用した。

 現在は、先行企業の調査などから、システムのDR(デザインレビュー)への取り組みを検討している。エンジニアは、どうしても新しい技術の導入をしたいものだ。それは、製品設計でも、システム設計でも変わらない。そこで製造現場のDRでは、不必要な技術導入や新規部材の採用を防ぎ、コスト増や品質悪化を防止する。このDRを、システムに取り入れるのだ。

 システムDRでレビューするのは、アーキテクチャ。標準を維持し、コストを抑えて安定稼動させる基幹系や、先進技術を実験的に導入して新しい技術基準に落とし込む現場支援など、テーマ領域ごとに設計、アーキテクチャの基本方針を明確化し、厳しくレビューしていく。この場合、IT投資のポートフォリオも考慮する。今後は、基幹系の充実ではなく、競争力を向上させるテーマにIT投資をシフトする。そこでDRでも、この方針を具体化するレビューを進める。

 競争力強化では、今後、コマツの機械稼働管理システム「KOMTRAX(コムトラックス)」などで有名な、建機ビジネスのIT化にも積極的に関与していく。現在はビジネス側が中心で進め、システム部門はインフラを担当している。そこへ、システム部門の開発技術やマネジメントノウハウを投入し、開発スピードの向上に貢献していく。

システム部門トップがグローバル全体最適を牽引する

 グローバルグループの投資効率を高め、リスクをコントロールするための統制は、システム部門として重要な役割である。これを実現するためには、システム部門として、目指す方向を指し示し、言うべきことはしっかりと言うことが求められる。そもそもシステム部門は、そのようなことができるポジションにある。これを活かすには、何よりもまず、システム部門のトップが、強い力でグループ全体最適を牽引することが重要だ。

 山根氏は、財務部門で20年以上のキャリアを積んだ後、システム部門長となった。コマツにおいて財務部門は、伝統的にグループ企業に対する強力なリーダーシップを発揮し、全体最適を進めてきた。このアサインメントは、経営者が、今後の情報システム機能に、ビジネスを理解し、リーダーシップとバランス感覚を兼ね備えたリーダーが必要と判断した結果であろう。コマツでは、現在の社長がシステム部門経験者である。企業としてシステム部門の重要性を認識し、適材適所の人材アサインを行っていることが理解できる。

 山根氏は現在、このような強力なリーダーシップ、その背景となるビジネス側への説明力、関係者の合意形成力などの力を、部下に継承しようとしている。そのため部下には、「グローバル全体最適を牽引する部門として、言うべきことを言え」、「そのために、常に現場へ行け」と指導している。その結果、本部員の多くが、日本や世界中の現場を積極的に飛び回るようになった。

 このような努力の中で、3年間の中期計画の2年目に、システム部門は、「e-KOMATSU推進室」から「情報戦略本部」へと昇格した。これは、経営者のさらなる期待を背景としている。

 では、次ページより、山根氏との対談インタビューの全体を紹介しよう。

【次ページ】リーマンショックをチャンスに変え、ドラスティックな改革を行ったコマツ。具体的にどのように進めたのか?

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