グローバルグループの投資効率を高め、リスクをコントロールするための統制は、システム部門として重要な役割である。これを実現するためには、システム部門として、目指す方向を指し示し、言うべきことはしっかりと言うことが求められる。そもそもシステム部門は、そのようなことができるポジションにある。これを活かすには、何よりもまず、システム部門のトップが、強い力でグループ全体最適を牽引することが重要だ。
山根氏は、財務部門で20年以上のキャリアを積んだ後、システム部門長となった。コマツにおいて財務部門は、伝統的にグループ企業に対する強力なリーダーシップを発揮し、全体最適を進めてきた。このアサインメントは、経営者が、今後の情報システム機能に、ビジネスを理解し、リーダーシップとバランス感覚を兼ね備えたリーダーが必要と判断した結果であろう。コマツでは、現在の社長がシステム部門経験者である。企業としてシステム部門の重要性を認識し、適材適所の人材アサインを行っていることが理解できる。
山根氏は現在、このような強力なリーダーシップ、その背景となるビジネス側への説明力、関係者の合意形成力などの力を、部下に継承しようとしている。そのため部下には、「グローバル全体最適を牽引する部門として、言うべきことを言え」、「そのために、常に現場へ行け」と指導している。その結果、本部員の多くが、日本や世界中の現場を積極的に飛び回るようになった。
このような努力の中で、3年間の中期計画の2年目に、システム部門は、「e-KOMATSU推進室」から「情報戦略本部」へと昇格した。これは、経営者のさらなる期待を背景としている。
では、次ページより、山根氏との対談インタビューの全体を紹介しよう。
【次ページ】リーマンショックをチャンスに変え、ドラスティックな改革を行ったコマツ。具体的にどのように進めたのか?