グローバル化については、就任してすぐに、グローバルIT戦略を策定。本戦略に則って、計画的なグローバル化、全体最適を進めている。
コニカミノルタは、もともとSAPを用いていたが、それぞれの組織がカスタマイズし、標準化できていなかった。これでは、経営の変化に迅速に対応できない。そこで、グローバル標準SAPを構築し、新たに導入する拠点には、この標準システムを入れた。今後、既存SAPの標準化・統合を進めていく。ネットワークは、グローバルに統合、データセンターもプライベートクラウド化。Eメールのグローバル統合などを進めている。
今後も、やるべきことは目白押しだ。IT戦略策定時に実施したベンチマークで、欧米企業と比較してセキュリティーの強化が必要であることを認識。今後これに対応していく。ネットワークがグローバルに統合されると、つながっているどこかの国でセキュリティーが破られると、グループ全体に脅威が及ぶ。日本国内は性善説ではなく性弱説に、一部海外は性悪説に基づいた対応を進めていく。ITマネジメントに関しては、グローバル全体最適のために、まずIT資産、ITコストが、どこでどのように使われているか、見える化を厳格にしていく。そして、日本のシステム部門が、世界各国のIT投資企画・評価に切り込んで行き、統合・共有できる投資はそのように変えるなど、ガバナンスを効かせていく。また、ITリソースを、グローバルリソースとして活用することを進めていく。たとえばWebデザインは米国が得意である。運用は、インドなどがコストパフォーマンスが高い。得意なリソースをグローバルグループで共有する運営に変えていく。
まだまだこれからやることは多い。先に示したグローバルIT戦略に基づいて、計画的に粛々と進めていく。そこでの課題は、人材だ。プロアクティブなビジネスへの提案。グローバル全体最適の推進ができる人材が、もっと必要だ。そのために、キャリア採用などと共に、IT人材に挑戦的な場を与えている。一旦承認を得たグローバルIT戦略の考え方を維持することも重要な課題だ。そのために、毎年きちんと結果を出すと共に、経営に対してシステム部門が何をしてきて、これから何をするか、PRし続ける。そして、技術変化の激しい中で、機動的に計画を改定ローリングしていく。
では、次ページより、田井氏との対談インタビューの全体を紹介しよう。
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