CIO・システム部長に聞く、情報システム部門の自己改革
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ユーザー部門の業務改革を期待される情報システム部門の中には、自部門の改革も着実に進めているところがある。彼らは、どのような自己改革を成し遂げたのだろうか。本連載では、情報システム部門のトップに自ら語っていただこう。第20回は、コニカミノルタのIT業務改革部長、田井 昭氏に話をうかがった。
田井氏は前職で、事業部で顧客のワークスタイルを変革するアプリケーションの開発を、日本のみならず世界を舞台に推進してきた。システム部門(IT業務改革部)を任されたとき、自分の役割は、システム部門が今以上に事業に貢献し、そしてグローバル化を進めることだと認識した。
プロアクティブに事業に貢献する
田井氏は、システム部門長に就任して早々、子会社を含めたIT人材に、タブレットを配布した。それは、自分自身の顧客ワークスタイル変革の経験と照らし合わせて、システム部門が、IT化が遅れていると感じたからだ。また、システム部門がプロアクティブに事業に貢献するには、事業部門から言われてやるのではなく、自ら先進のITを調べ、効果を把握し、よいものを事業部に提案する文化を根付かせるためだ。最初、配布されたタブレットをどう使うか悩んでいたIT人材も、今では会議はタブレットでペーパーレスで進めるなど、使いこなしている。
その後も、リアルタイムコミュニケーションの導入など、先進のIT導入を続けている。リアルタイムコミュニケーションは、世界のどこからでも、即時性のあるコミュニケーション、リアルタイムのディスカッションができる仕組みだ。まだまだ、日本企業でこれを使いこなしているところは少ない。コニカミノルタでは、単にツールを入れるのみならず、フリーアドレスと同期して導入して、このツールをなくてはならないものにするなど、普及を加速する施策を進めている。
また、事業部門の持っている米国の技術開発拠点と連携し、先進ITのリサーチ力の強化を計画している。当社は、顧客のIT化を生業にしている会社である。そこで、ベンダーに新しいITを教えてもらい、慌てて検討するのではなく、世界の先進の動きを知って、これを事業部門に提案し、それができるベンダーを探して導入するという、プロアクティブな対応ができるところまで持っていくつもりだ。
グローバル化を計画的に進める
グローバル化については、就任してすぐに、グローバルIT戦略を策定。本戦略に則って、計画的なグローバル化、全体最適を進めている。
コニカミノルタは、もともとSAPを用いていたが、それぞれの組織がカスタマイズし、標準化できていなかった。これでは、経営の変化に迅速に対応できない。そこで、グローバル標準SAPを構築し、新たに導入する拠点には、この標準システムを入れた。今後、既存SAPの標準化・統合を進めていく。ネットワークは、グローバルに統合、データセンターもプライベートクラウド化。Eメールのグローバル統合などを進めている。
今後も、やるべきことは目白押しだ。IT戦略策定時に実施したベンチマークで、欧米企業と比較してセキュリティーの強化が必要であることを認識。今後これに対応していく。ネットワークがグローバルに統合されると、つながっているどこかの国でセキュリティーが破られると、グループ全体に脅威が及ぶ。日本国内は性善説ではなく性弱説に、一部海外は性悪説に基づいた対応を進めていく。ITマネジメントに関しては、グローバル全体最適のために、まずIT資産、ITコストが、どこでどのように使われているか、見える化を厳格にしていく。そして、日本のシステム部門が、世界各国のIT投資企画・評価に切り込んで行き、統合・共有できる投資はそのように変えるなど、ガバナンスを効かせていく。また、ITリソースを、グローバルリソースとして活用することを進めていく。たとえばWebデザインは米国が得意である。運用は、インドなどがコストパフォーマンスが高い。得意なリソースをグローバルグループで共有する運営に変えていく。
まだまだこれからやることは多い。先に示したグローバルIT戦略に基づいて、計画的に粛々と進めていく。そこでの課題は、人材だ。プロアクティブなビジネスへの提案。グローバル全体最適の推進ができる人材が、もっと必要だ。そのために、キャリア採用などと共に、IT人材に挑戦的な場を与えている。一旦承認を得たグローバルIT戦略の考え方を維持することも重要な課題だ。そのために、毎年きちんと結果を出すと共に、経営に対してシステム部門が何をしてきて、これから何をするか、PRし続ける。そして、技術変化の激しい中で、機動的に計画を改定ローリングしていく。
では、次ページより、田井氏との対談インタビューの全体を紹介しよう。
【次ページ】ビジネスの変化に素早く対応することを目的にERPの標準化を決断
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