現在昭和シェル石油では、既存の石油事業で生産性を高めながら、新規事業では付加価値を高めるという、2つの重要な課題を進めている。そこで情報システムとして、標準化、簡素化、集約化を進め、仮想化やクラウドを活用し、コストを下げながら変化に柔軟に対応する基盤を構築している。また、外の優れたサービスを活用するために、今後の内外サービスの活用を明らかにするポートフォリオの確立を行っている。
これらを進めるためには、子会社を含めた情報システム機能全体を強化し、戦略や企画提案の能力を高めなければならない。そこで久保氏は、システム人材一人ひとりが、現在どのような立ち位置にいるのか、客観的な判断ができる仕組みを構築している。これを基に、本人と上長が議論し、今後の自分自身の能力強化の方向を認識し、自発的なスキルアップや業務への挑戦を引き出すのだ。さらに、情報システム機能のコストパフォーマンスを見える化する仕組みを構築している。この仕組みで、経営に対するITの説明責任を果たすと共に、他社とのベンチマークや計画的な向上によって、情報システム機能の継続的な能力アップを図っていくことを意図している。
上記改革を進める中で、久保氏が気を配っていることに、ゴールセッティングがある。ビッグプロジェクトを経験する中で、久保氏は、チームにパワーがあることを実感した。チームが1つの目標を共有し、それに向ってメンバーが競い合い、切磋琢磨するとき、チームも、そして構成メンバーも、見る見る成長する。これを実現するには、背伸びしないと獲得できないが、努力すれば決して無理ではないというゴールの設定が重要なのだ。
では、次ページより、久保氏との対談インタビューの全体を紹介しよう。
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