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- 2012/04/23 掲載
O2Oとは何か?スマホ・ソーシャル普及でネットと実ビジネス連携の進化を追う
1億5000万会員をリアル店舗へ送客するサービスも
TSUTAYAなどがスマホ対応を強化、ユニクロやローソンはSNS連携
2010年頃から「O2O」という言葉が急速に注目を集め始めたのには理由がある。スマートフォンの爆発的な普及だ。スマートフォンには、加速度センサー、GPSなどの位置情報、近距離無線通信規格(NFC:Near Field Communication)、拡張現実(AR:Augmented Reality)などの技術が搭載されている(関連リンク1:NFCとは?、関連リンク2:ARとは?)。その機能を活用すれば、ネットからリアルへの新たな送客手法が可能となるからだ。
たとえば、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)では、1999年のTSUTAYA online(ツタヤオンライン)立ち上げの頃から、クリック&モルタルを事業戦略の一つの柱に据えており、商品やサービスが検索できる「TSUTAYAサーチ」の提供や、半額クーポンなどのオンラインクーポンに力を入れてきたが、「今後は一層スマートフォン向けの対応を強化していく」(CCC広報)という。
また、楽天グループのビットワレットでは、携帯キャリアのKDDIと提携し、プリペイド型電子マネー「Edy」チャージなど、スマートフォン向けのサービスを強化している。
大手流通企業のユニクロやローソンでは、SNSでチェックインした顧客にクーポンを配布する取り組みを実施したように、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアとの連携にも注目が集まっている。
位置情報を活用した送客サービスで顧客囲い込みを狙う
国内におけるO2Oの取り組みでまず脚光を浴びたのは、「クーポン共同購入サイト」である。代表的な事業者として、リクルートが提供する「ポンパレ」やグルーポン・ジャパンの「グルーポン」などが挙げられる。これは、商品やサービスをインターネット上において期間・数量限定で販売し、購入したユーザーは実際の店舗でクーポンを利用できるものだ。一時は200社程度のサービスが登場したと言われているが、前払いがベースとなるため、購入したユーザーがその商品やサービスを事前にチェックできず、基本的に返金は不可能となっている。また、新規顧客の獲得としては効果があるが、リピーターを確保しにくいといったリサーチ結果もあり、現在は当初の勢いがなくなってきているとの声もある。
従来のクーポン共同購入サイトの課題を新サービスに生かしたのがネットマイルだ。同社では、250万人以上の会員に対し、約4,000の店舗での体験モニターや、指定商品の購入モニターの募集を行う覆面モニターシステム「ネットマイルモニター」を開始した。
モニターに選ばれた会員は、店舗サービスや商品改善のために、顧客を装った覆面調査員としてリアル店舗に来店し、接客や商品の評価を行う。その後、感想をネット上でアンケート回答することで、支払い代金の30~50%に相当するポイントが、ネットマイルのマイルとして付与される。
サービス開始の記者会見でネットマイル 代表取締役 CEO 畑野仁一氏は、「ネットマイルモニターであれば、店舗にとっては、後払いかつ承認分のみの謝礼発行となり、ユーザーにとっては来店時払いを可能にしている」と自信を見せる。
位置情報を利用したサービスに力を入れる企業も多い。スポットライトでは、店舗に訪れるだけでポイントが貯まるスマートフォン上の共通ポイントサービス「スマポ」をリリースしている。これは、利用者がAndroid端末やiPhoneでアプリをダウンロードし、加盟店でアプリを操作してチェックインするだけでポイントが付与されるサービスだ。すでに、ビックカメラ、大丸東京店、ユナイテッドアローズなど大手流通店舗がサービスを利用している。
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