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  • 2012/07/03

スマホはO2Oの架橋となるか?オンラインとオフラインでNo.1を目指すソフトバンクのO2O戦略

PayPal Hereは早期に10万台販売

「『PayPal Here』の投入により、『O2O(オンライン・ツー・オフライン)』の展開においても圧倒的なNo.1を目指す」。5月9日の記者会見でソフトバンク 代表取締役社長 孫正義氏はこう言い放った。同社では今後、利用者がオンラインで商品やサービスを発見し、オフラインで購入や決済を行うシーンが増加するとみている。すでに米国ではコマースチャネルの割合として、全体の5割が「O2O」となっているが、国内はわずか2割程度にとどまっている。同社では、PayPal Hereの投入により、従来から強みを持つオンライはもちろん、オフラインの世界でもNo.1を目指す腹づもりのようだ。

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元において、雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わる。電子決済、PCI DSS/カードセキュリティ、ICカード、ICタグなどのガイドブック制作を統括。2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト「payment navi(ペイメントナビ)」「PAYMENT WORLD(ペイメントワールド)」などのサービスを手掛けるTIプランニングを設立した。

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スマホを決済端末として、オンラインから店舗への送客、決済まで可視化可能

 ソフトバンクとPayPalは、両社の合弁会社「PayPal Japan」を設立し、PayPalが米国、カナダ、香港、オーストラリアで展開すると発表している「PayPal Here」を国内にも投入する。孫社長は、「オンラインとオフラインの両方でNo.1を取りたい」と意気込みを見せる。

 PayPal Hereは、スマートフォンのイヤフォンジャックに挿す親指大のカードリーダーと無料のモバイル・アプリケーションを使用し、クレジットカードやデビットカード、PayPalによる支払いを行うことができる決済システムだ。

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PayPal Here用の機器(左)と利用イメージ(右)。「1,200円の安価な導入コスト」「即時の回収期間」、「5%の安価な決済手数料」が特徴
(出典:ソフトバンク)


 現在、国内のクレジットカード決済の導入店舗は95万店舗程度であり、335万店舗が未導入の状態となっている。従来、CCT端末(信用照会端末)などのコストや決済手数料などがネックとなり、クレジットカード決済の導入は中小規模の加盟店の多くが二の足を踏んでいた。その課題をカードリーダー1,200円、決済手数料5%のシンプルな価格で提供することにより、解決できるとしている。

 実際、EC市場は約8兆円の規模があると言われているが、外食産業の24兆円、小売業の135兆円などに比べるとまだまだ規模は小さい。PayPal Hereの新社長に就任するソフトバンクモバイル 常務執行役員 商品統括 喜多埜 裕明氏は、2012年3月までヤフーのCOOを務めていたが、同社でも膨大なリアルシーンの行動に関与することはこれまでできなかったそうだ。

 喜多埜氏は、2011年6月にそれまで同社が展開してきた地域生活圏情報に関わる7つのサービスを集約した、日本最大級のジオサービス「Yahoo! ロコ」を立ち上げた中心人物でもある。同社では、すでにPayPal HereとYahoo!ロコとの提携も予定しているという。

「たとえば、Yahoo!ロコでPayPal Hereの加盟店を紹介し、店舗に送客するなど、いろいろな展開が考えられます。PayPal HereをキーにしたO2Oの展開により、オンラインから店舗への送客、決済まで可視化でき、利用者に対して商品の紹介やクーポンの配信までワンストップでの展開が可能になります」(喜多埜氏)

ウォレットも展開、リピート顧客には「顔パス」で決済が完了

 ヤフーでは、オンライン上のログデータをマーケティングに活用する取り組みは行われていたが、オフラインはほとんどゼロに近かったそうだ。将来的には、オンライン上の取引まで一貫して捉えることにより、店舗がマーケティングに有効活用できるデータを提供していきたいとしている。

 また、ソフトバンクモバイルではiPhoneやiPadの法人向けの販売をはじめ、約25万店舗へWi-Fiの設置を行っているため、それとクロスした展開も積極的に行う方針だ。さらに、ソフトバンクモバイルでは、3,000万人近いユーザーを抱えており、純増数は№1が続いている。今後は、こうした利用者へのPR展開を考えていきたいとしている。

 ただし、現実問題として、経営環境が厳しい国内の中小加盟店の多くが、5%の決済手数料は高いと感じるのも事実だろう。また、小額決済が主流の中小の飲食店やサービス業では、クレジットカード決済の導入に抵抗を示すところも少なくない。また、国内の場合、米国などに比べクレジットカードによるモバイル決済を行う際の加盟店審査が厳しいと言われている。

 実際に、国内でスマートフォン決済ソリューションを提供する企業の多くが、「スマートフォン決済の普及は容易なものではない」とコメントしている。普及に向けては、中小加盟店が導入可能なCRMサービスとの連動がカギとなりそうだ。

 喜多埜氏は、「ポイントやクーポンなどのウォレットも展開する方針」であると説明する。具体的な検討はこれからとしながらも、たとえば、リアルの加盟店が自らYahoo!ロコ提供の「クーポン」を活用して顧客を呼び込んだり、チェックイン機能を利用して利用者の友人なども含めた来店促進を図ることが可能になるかもしれない。

 また、PayPal Hereで決済を行う際にソフトバンクグループが提供するポイントが貯まったり、利用できるサービスも考えられそうだ。また、スマートフォンに電子カタログをインストールすれば、「ついで買い」の提案を行うことも可能かもしれない。

 さらに、ヤフーでは、4045万人のアクティブ会員を有する国内最大級の共通ポイントサービスである「Tポイント」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と戦略的資本・業務提携について基本合意し、「Yahoo!ポイント」を「Tポイント」へ切り替え、CCCは「T-ID」を「Yahoo! JAPAN ID」へ統一することを発表した。将来的には、PayPal Here決済でTポイントを付与したり、Yahoo! JAPAN IDでウォレットサービスへのログインも考えられそうだ。

 なお、PayPal Hereには、自動チェックイン機能があり、利用者が登録した店舗であれば、店員の確認により、PayPalアカウントを活用し、カードやスマートフォンを出さずに「顔パス」で決済が完了するのが特徴となる。利用者は加盟店の店員に名前を伝え、店員はチェックインリストから利用者を選択して決済が可能になる。

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ソフトバンク、ヤフーなどのソフトバンクグループの強みを新会社へ生かす
(出典:ソフトバンクの記者会見資料)


【次ページ】「Yahoo!ウォレット」決済のリアル進出を狙うヤフー

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