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- 2013/10/21 掲載
アマゾンのジェフ・ベゾスが実行するトヨタ式改善「顧客は常に正しい」
自分たちのサービスや仕組みを顧客に合わせる
アマゾンが正式にスタートした初日から、創業者でCEOのジェフ・ベゾスは「顧客は常に正しい」として、顧客の要望には可能な限り応えようとした。返品の期間を15日以内から30日に延長したように、顧客に合わせてもらうのではなく、自分たちのサービスや仕組みを顧客に合わせていった。アマゾンからの箱が開けにくいという老婦人からの要望を受けて、箱の設計を変更したこともある。
こうした変更には手間もコストもかかる。社内のあれこれを変える必要もある。しかし、ベゾスは「顧客は常に正しい」を貫くことで、改善を繰り返した。すべては顧客の信頼を勝ち取るためだった。
企業が改善を行う際、往々にして間違えるのは「誰のための改善か」「何のための改善か」という視点を忘れ、改善したつもりが「改善ごっこ」になってしまうことだ。
やがて一つの改善が行われた。待合室に新聞や雑誌をたくさん用意して、お茶やコーヒーも自由に飲めるようにした。さらにマッサージチェアも何台か購入して、待っている間に無料でマッサージを受けられるようにした。評判は良かった。これまで何もすることがなく、ただ黙って座っているか、顔見知りと話すくらいしかなかったものが、マッサージを受けながらお茶を飲めるようになったのだから患者、特に年配の患者にはとても好評だった。
しかし、この改善に院長は大いに不満だった。たしかに患者の評判は悪くないが、長い待ち時間を前提にした改善は本当の改善ではないと感じていた。患者にとって本当に必要なのは長い待ち時間を快適に過ごすことではなく、できるだけ短い待ち時間でしっかりとした診察を受けることができることだ。
【次ページ】「変えていいものと変えてはいけないもの」をしっかりと見極める
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