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  • 2014/11/12

理屈をこねる人間はたくさんいるが、実行できる人間はなかなかいない

連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意

トヨタ式に関する本は山ほど出ている。それだけにトヨタ式についてよく知る人は多いが、ではトヨタ式をトヨタほどに実行できる企業がどれほどあるかというとその数は案外少ないのではないだろうか。知ることと実行することの間には大きな壁がある。トヨタ式を導入して効果を上げるためには、何よりも「まずやってみる」という姿勢を持ち続けることが大切なのだ。トヨタの元会長の奥田碩氏も「理屈をこねる人間はたくさんいますが、実行できる人間はなかなかいません」と語っている。

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。

学問でいくら知識を増やしても、行動に生かされなければ意味がない

 リコーの元会長・浜田広氏の「座右の銘」は、鹿児島に古くから伝わる「いろは歌(日新公いろは歌)」の一つだという。

「いにしへの 道を聞いても唱えても 我が行ひにせずば かひ(甲斐)なし」

連載一覧
 この「いろは歌」は、島津家中興の祖と言われる島津忠良氏(1492~1568年)の作であり、いろは47文字をそれぞれ頭文字にしたものである。

 大意は「昔の優れた人の教義を聞いていくら知識を増やしても、また口で立派なことが言えるようになっても、自分の行動にそれが生かされていなかったら、何の意味もない」になる。なかなかに厳しい指摘だが、薩摩では400年に渡ってこの「いろは歌」が子弟教育の原典となっていた。

 明治維新の立役者となった西郷隆盛も大久保利通も、あとにつづく薩摩出身の明治維新の重臣たちもみんなこの歌をそらんじて育ったという。戦後はさすがにこの歌を口にする人も少なくなったというが、浜田氏が小学生の頃はたいてい誰もがこの歌を習い、そして暗唱していた。

 郷里を離れて以来、浜田氏は47すべての歌を覚えていたわけではないが、この「い」の歌はいつも頭の片隅にあり、「わが行ひ」と反芻しながら人生を送ってきたという。

 人には不言実行タイプもいれば、有言実行タイプもいるが、企業では何より行動が大切になる。「わが行ひにせずば 甲斐なし」で、仕事というのは行動に移せなかったら結果は出ない。能力とは、知ること、考えること、話すこと以上に行動する量で決まる、というのが浜田氏の考え方だった。

 トヨタ式に「いろは歌」のようなものがあるわけではないが、トヨタ式の基礎を築いた大野耐一氏の口ぐせは次のようなものだった。

「百聞は一見に如かず、百見は一行(行動)に如かず」
「『分かった』ということは行動することである」

セミナーに行った若手トヨタマンが上司に課されたこととは

 若いトヨタマンAさんが上司の指示であるセミナーに出席した時のことだ。若いAさんにとってセミナーの内容は大変ためになったようで、翌朝、出社したAさんは笑顔で上司にこう報告した。

「昨日はセミナーに参加させていただいて大変ありがとうございました。お陰さまで大変勉強になりました」

 普通の会社なら、上司は「ご苦労さん、学んだことを生かして仕事をがんばって」のひと言で終わりかもしれないが、Aさんの上司はこう言った。

【次ページ】100の説法よりも一つの実行だ

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