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  • 2015/05/22 掲載

好業績の今こそ学びたい、トヨタ式の「好況を切り抜ける」という考え方

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東証一部上場企業の2015年3月期決算の発表がピークを超えた。過去最高益を更新する企業も多く、全体でも3期連続の増益となった。なかでもトヨタ自動車は営業利益2兆7,500億円で過去最高を更新。トヨタ以外の企業も収益を大きく伸ばしているが、好況・好業績だからこそ大切にしたいのが「不況を切り抜ける」だけでなく、「好況を切り抜ける」というトヨタ式の考え方である。
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「本当の合理化は景気がいい時にやらないとダメ」だと語るのは、トヨタ式の基礎を築いた大野耐一氏だ。

熱狂にあっても冷静に判断する

連載一覧
 金川千尋氏(信越化学工業会長)は、1990年に信越化学工業の社長に就任、同社を塩化ビニール樹脂と半導体シリコンウェハーで世界トップメーカーに躍進させたカリスマ経営者である。

 20年に渡って社長として同社をけん引したのち、2010年に会長に就任した後も十分な存在感を発揮しているが、そんな金川氏の有名な言葉に「熱狂にあっても冷静に」がある。

 1999年、アメリカの塩ビの市況が大変な好況を呈した時のことだ。この時、金川氏は部下に対して早めにユーザーとの契約を更改し、契約の長期化と価格値上げを行うように指示している。

 通常、こうした契約更改は10月から11月にかけて行われるが、金川氏は熱狂が続いている夏に行うように命じている。

 市況の熱狂ぶりはすさまじかった。製品は品薄になり、ユーザーは「値段はいいからとにかく品物をくれ」という状況だった。熱狂は通常、3か月から半年続くが、熱狂は必ず冷める時が来る。熱狂が翌年には冷めると見ていた金川氏は熱狂を深追いして、設備の増強や買収といった拡大路線を突き進むのではなく、ユーザーとの間に有利な契約を結び、儲けた金で不良資産などを処理、次への備えを強化した。

 翌年、読み通りに熱狂は冷め、拡大路線に走った同業他社が手ひどいやけどを負ったのに対し、同社はユーザーとの間に結んだ有利な契約と健全なバランスシートに支えられてさらなる成長へと邁進することができたという。

「熱狂にあっても冷静に判断し、時流にやみくもに乗らない」

 これがカリスマ経営者・金川氏のやり方だった。

 まさに「不況を切り抜ける」のではなく、「好況を切り抜ける」のが金川氏のやり方だが、トヨタに「好況を切り抜ける」を持ち込んだのが「トヨタ中興の祖」と呼ばれる石田退三氏である。

【次ページ】目先の好況に目を奪われて、やたらと規模を大きくしてはならない

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