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- 2015/12/15 掲載
トヨタ流の「在庫」管理術、リードタイム短縮のための7つのポイント
トヨタ生産方式の導入方法(6) 在庫は罪庫
つくり過ぎは会社を潰す
この年、トヨタは倒産の危機に瀕して、銀行からの融資を受ける条件として創業者である豊田喜一郎氏の社長退陣と2000名近い社員の解雇という辛い決断を行っている。なぜそれほどに追い込まれたのか。理由は景気の悪化もあったが、一番の理由は需要を無視して売れると思って続けていた「見込み生産」にあった。
当時の辛さを、トヨタ式の基礎を築いた大野耐一氏はこう話している。
「いくら車をつくっても、ものが売れない限りお金は入ってきません。工場は在庫の山、会社は金がないという最悪の事態でした。工場で売れない在庫の山に囲まれて、その時私がつくづく痛感したのは『ともかく、つくり過ぎは会社を潰すことになる。つくり過ぎは罪悪だ』ということでした。売れないものをいくらつくってみても在庫の山をつくるだけで、最終的には売れ残ってスクラップにすることになる。それよりも『売れるものを、売れる時に、売れるだけつくる』ことがいかに大切かを本当に身にしみて感じました」
このときの「在庫の山を抱えて困り果てた」惨めな体験が当時のトヨタマンにはある。在庫の山を生む原因は市場でいくら売れるかという「必要数」を無視した「見込み生産」にある。景気が良ければ次々とものをつくって倉庫に保管しておいたとしてもいずれは売れることになるが、少しでも景気が悪くなったり、あるいはお客さまの嗜好が変化するとせっかくの在庫は決して売れることのない「罪庫」になってしまう。
だからこそ、ものづくりは必要数を意識しながら、「売れるものだけをつくる」というのがトヨタ式の考え方だ。
とはいえ、「売れるものだけ」をつくり、在庫は極力持たないようにすることの大切さは理解したとしても、それでも大量の在庫を抱えたがる企業はとかく絶えない。在庫がないと注文にすぐに応えることができず、「売り損ない」になると恐れるからだ。
だが、機会損失を防ぐには、多すぎる在庫は必要ない。トヨタ式改善を進めることで、たとえば注文を受けて何時間かでものをつくり、すぐに納品できる体制をつくればいいだけのことだ。つまり、大量の在庫はムダを生むばかりか、「つくる力」の欠如という問題の放置ともなる。
リードタイム短縮のためにやるべきこととは?
では、在庫を最小限にするためには何が必要かというと、リードタイムの短縮が不可欠になる。リードタイムにはいくつかの種類がある。商品リードタイム:受注から納品まで
開発リードタイム:開発から納品まで
こうしたリードタイムの短縮は、競争力のアップと多品種化への対応を実現することになる。
【次ページ】リードタイム短縮のための7つのポイント
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