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  • 2015/08/19

トヨタ式工場はなぜ床が白い? 過剰包装は「ゴミを買っている」のと同じだ

トヨタ生産方式の導入方法(2)5S後編

トヨタ生産方式の具体的な進め方を6回程度に濃縮してお届けする本連載。前回、トヨタ式の起点が5S(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」)にあると説明した。これらは一緒にされることも多いが、まったく違う意味を持つ。前回はそのうち、「整理」と「整頓」がどう違うのか、そしてそれを具体的に進めるための手順を解説したが、今回は5Sの後半、「清掃」「清潔」「しつけ」の進め方を紹介しよう。

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。

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5Sが行き届いている工場とそうでない工場はひとめでわかる

全員参画型の「清掃」は5Sのスタートとしてとてもいい

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 「整理」「整頓」を行うことによって、欲しいものがいつでも取り出せる、何がどこに何個あるかがだれでも分かるようになったなら、次は「5S」の3番目「清掃」と、4番目の「清潔」の徹底だ。清掃や清潔の目的は、職場で安全に不安がなく、作業に支障のない状態を実現し、品質を維持向上させていくことになる。

 「清掃」の目的は床や壁、機械設備、治具工具、棚、キャビネットなど職場にあるものをすべてきれいにすることだが、ここで気を付けなければならないのは単にピカピカに磨いたり、ペンキを塗り替えればいいというものではないということだ。

 もちろんピカピカに磨くことは否定しない。トヨタ式を実践しているある企業は清掃のスタートにあたり、工場や職場の壁や床をA2サイズに区切り、社長以下の全社員がそれぞれのブロックを受け持ち、汚れがなくなるまでピカピカに磨き上げている。

 「割れ窓理論」ではないが、建物の中に汚れた場所や乱雑にものの置かれた場所が残っていると、人は汚すことを気にしなくなるが、東京ディズニーランドがそうであるようにゴミ一つ落ちていない状態が維持されているとゴミを捨てないばかりか、自分も「きれいにしなければ」という気持ちになるものだ。

 その意味でも全員参画型の清掃は5Sのスタートとしてはとてもいいやり方だ。トヨタ式を実践しているある企業では、職場がきれいになったことで、働く人たちの気持ちが変わったのか、敷地内での車の運転がやさしくなり、花を植えたり、池をきれいにして魚を泳がせる人も出たばかりか、災害なども大幅に減ったというケースがあるほどだ。

大切なのは「修繕」ではなく「修理」

 床や壁、機械などをピカピカに磨いたうえで、機械設備などに関しては「点検清掃」を徹底する。トヨタ式の基礎を築いた大野耐一氏が言っているように、機械は壊れるよりも壊すほうが多い。だからこそ日ごろから機械を使っている人が小さな異常や音の変化、匂いなどに神経を研ぎ澄まし、「何か変だなあ」と感じたら早目に修理を心がけることだ。

 ここで大切なのは「修繕」ではなく「修理」である。修繕というのは、故障した時に応急処置的に部品などを交換して動かすことだが、トヨタ式の「修理」は故障の真因を調べて二度と同じ故障をしないようにすることを指す。

 機械で大切なのは「稼働率」ではなく、動かしたいときに動く「可動率」である。こうした日々の細やかな点検清掃と、修理の積み重ねが機械の可動率を高め、「稼ぐ力」を維持してくれる。

【次ページ】世界と戦える「つくる力」を手にするには?

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