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  • 2015/01/15

「P-D-C-A」に「F」をつけろ!テスラモーターズ「秘密のマスタープラン」

企業にとっても、個人にとっても新しい年を迎えるというのはやはり格別のものがある。新しい年、あるいは新しい年度のスタートに当たってはそれぞれに新たな目標を掲げることが一般的だが、なかには目標は掲げたものの、いつの間にか目標への関心が薄くなり、最後はどれだけ達成できたかがうやむやになってしまうケースも少なくないようだ。優れた企業や経営者は、掲げた目標を何が何でも達成するためにさまざまな手段を講じている。

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。

テスラモーターズの秘密のマスタープラン

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 企業が成長するためには明確な目標が欠かせない。漠然とした理想論を否定するわけではないが、できるならそこに至る道筋をはっきりと示した目標があった方がいい。電気自動車の世界に革命を起こしたテスラモーターズが当初掲げたビジョンは極めて曖昧なものだった。

世界を電気自動車中心の社会へと導くことで、21世紀の最も有力な自動車会社となる

 これだけなら「行き着く先のイメージ」を漠然と示したベンチャー企業にありがちなものと大差ない。これは目指す理想ではあっても目標とはなりえない。大切なのは「どうやってこのビジョンを実現するか?」である。

 同社CEOのイーロン・マスクが優れていたのは創業から3年経った2006年、「テスラモーターズの秘密のマスタープラン」としてより具体的な道筋を示したことだ。そこにはこう書いてあった。

電気自動車のような新しい技術を開発するためにはお金がかかるので、初期の段階では一台当たりのコストがかなり高くなってしまう。

従ってテスラは、そのコストを吸収できる高価格を許容してくれる顧客を狙って、まずはハイエンド市場から参入する。具体的にはテスラ・ロードスターというハイエンドのスポーツカーを最初のモデルとして市場に投入する。

テスラ・ロードスターを一定台数販売することで、できるだけ早期にコストを回収し、コストダウンを実現する。その結果、2番目の車種としてファミリー層向けのスポーティー4ドアセダンを最初の車種ロードスターの価格8万9000ドルの半額で市場に投入する。

さらに3番目の車種としてより安価な大衆型モデルを発売する。

こうしたモデル展開戦略に加えて、車メーカーに限らず、自社の技術を採用してくれる他社へ発電システムを提供する戦略を並行して実施する

 テスラモーターズはこのマスタープランに書いてある通りのステップを踏んでビジョンを実行している。2008年にテスラ・ロードスターを発売後、2012年にスポーティーセダンのモデルSを発売、2015年にSUVのモデルX、2017年にモデルS(7万ドル)の半分くらいの価格でモデル3を発売することを予定している。

 価格の点などで多少のズレはあるものの、同社が今後ギガファクトリーで電池を集中生産することで電池関連のコストを下げるとか、特許を無償で開放するなど「電気自動車中心の社会」を目指して着実に手を打っているのは高く評価できる。

重要なのは、社員全員が目標に関心を持ち続けること

 単なるスローガンのようなビジョンは、達成への道筋が見えず、ただのお題目に終わりやすい。掲げたビジョンを確実に実現するためにはこうした道筋をはっきりとみんなに示し、一つひとつのステップを踏んでいくことが欠かせない。

【次ページ】どのようにして社員の関心を惹いたのか

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