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- 2013/11/15 掲載
ベネッセが取り組んだ、入会率向上・満足度96%を実現したO2O施策
背景にあったのはダイレクトメール開封率の低下
「このモデルには、DMの開封率が低下しているという大きな課題があった。確かに今の人たちはプッシュ型で送られてきた情報は見ないとか、欲しい情報は自分で調べるなど色々な理由は考えられる。しかし、一番の原因として私が認識していたのは、ビラを配布した“場”からDMを送る段階までの間に“一連の文脈”がないということ」
この課題を解決するためにベネッセが採った施策の1つが、生後6か月までの子供を持つ両親に向けた情報提供サイト「はぴらべ(Happy Life with Baby)」を絡めたO2Oの施策だ。
「オフライン(=場)とオフライン(=DM)の間を、オンライン(=メールマガジン)で繋ぐという観点で作った施策で、こどもちゃれんじへの入会者数を増やすことを目的とした」という。
実はこの施策、2年前から実施していたが、当初は香山氏のいう“一連の文脈”を作ることができていなかった。
従来は、産科に来ている母親などにビラを配り、アンケートに記入してもらったら、切手もしくは絵本にお子さまの名前を入れてプレゼントする、ということをやっていた。そしてアンケートで集めたリストに対して後日、0~1歳向けコースの“こどもちゃれんじbaby”のブランド名でDMを送っていた。
しかし、産科でのアンケートは、妊娠期にある女性に向けた“たまひよ”というブラント名で取得していた。そのため、DMを受け取った人にしてみれば、あれ、何でこんなところからDMが届くの?という話になっていたという。
「そこでビラを配布した“場”での接点から、DMを開封してもらい、こどもちゃれんじbabyに入会してもらうという我々にとってのクロージングに繋げるまでの一貫した流れを作った。つまり、“ベネッセはこどもちゃれんじbabyという良い教材を作っている”と感じてもらえるような一連の文脈を作り上げたかった」
見込み客が意思決定を行うタイミングから逆算して設計
「以前のようにプレゼントを差し上げますという話をした後に、いきなりこどもちゃれんじbabyのDMを送るのではなく、その前に、その人に役立つ情報を配信することをメインに考えた」
ここで少し整理しておくと、はぴらべのメールマガジンは生後6か月までの子供を持つ両親に向けた情報提供を目的としたもの、一方、入会者数を増やす目的のこどもちゃれんじは0~6歳児を対象としたもの、そしてプレゼント実施後にDMを送ったこどもちゃれんじbabyは、さらにその中の0~1歳向けたコースだ。
「最初にはぴらべのメルマガが毎週届き、お子さまが6か月を過ぎた頃にはこどもちゃれんじbabyのDMが届くことになる。しかし以前と決定的に異なるのは、メルマガを送る中で、“実はベネッセには生後6か月から始められるこどもちゃれんじbabyというサービスがあるんですよ”という内容を自然な形で盛り込み、郵送で届くDMも違和感なく受け取っていただけるような流れを作った」
まさに産科というオフラインの場での接点と、家でDMを読むというオフライン上の行動を、メールマガジンというオンラインで繋ぐことで一連の文脈を作り、最終的な入会率のアップを狙った施策だといえる。
「逆にいえば、お客さまが意思決定を行うタイミングから逆算してコミュニケーションを始めるという戦略。お客さまに振り向いていただけるように、まずは企業として信頼してもらえるようなコミュニケーションを時間をかけて図り、その上で“今後はこんなサービスもありますが、いかがですか”という話ができる関係性を築いた」
【次ページ】オンラインとオフラインを組み合わせる必然性が求められる
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