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  • 2014/01/06 掲載

戸田覚氏が辛口チェック、なぜその企画書は経営層に伝わらないのか

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ビジネスと企画書は、切っても切れない関係にある。いま、我々が当たり前のように利用している製品やサービスにも、その誕生前には必ず企画書が存在したはずだ。もちろん、その多くは社外秘として秘匿され、世に出ることはほとんどないが、こうしたヒット商品の企画書を集め、書籍として出版したのが、アバンギャルドの戸田 覚 氏だ。数多くの企画書を見てきた戸田氏が、日商エレクトロニクス主催の「ビジネスプロセスイノベーションセミナー」のセッションに登壇。「ホンモノの企画書で知るBPMのメリットとは」と題して、IT系企業の企画書が抱える課題を辛口でチェックした。

井上健語

井上健語

フリーのテクニカルライター&編集者。1964年愛媛県生まれ。ソフトバンクのPC-98専門誌Oh! PCの編集者を経て、MS-DOS全盛時代にフリーランスとして独立。以来、Word、一太郎などのWindowsアプリ解説書、各種マニュアルの執筆、企業取材などを手がける。2008年度よりMicrosoft WordのMS MVP。個人サイトはMAKOTO3.NETジャムハウスとは紙メディア制作、ウェブデモとは動画制作で共同戦線を敷く。

戸田氏が指摘するIT系企業の企画書が持つ課題

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戸田 覚 氏
 「ビジネス書作家」の肩書きで精力的な活動を続ける戸田覚氏は、これまで150冊以上の書籍を執筆し、月に50本の連載を抱えている。1998年に発売された書籍『ヒット商品の企画書が見たい!』は、ヒット商品の企画書をそのまま掲載して話題になった。最近も『新・あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』という新しい書籍も上梓し、好調な売れ行きを見せている。

 企業の社内勉強会やセミナーに参加することも多く、これまで1000本を超える企画書を見てきたという戸田氏は、その経験から、IT系企業の企画書には、いくつか共通点があると指摘する。

「まず、ページが多いという特徴があります。しかも、どれも同じに見えます。ある企業の役員の方が『ページ数が多すぎて、いったいどこを読んだらいいのかわからない』と話されていましたが、まさにそのとおりだと思います。さらに、専門用語が多い。経営者に関心があるのは、利益や効率です。会社がいくら儲かるか、人数をどれだけ減らせるか、時間をどれだけ短縮できるかに関心があるのであって、システムに興味はありません。情報システム部門の方とお会いすると『上が分かってくれない』という声をよく聞きますが、それは上がわかってくれないのではなくて、皆さんがわからせていないのです」(戸田氏)

 また、導入後のメリットを伝えるだけではなく、入れたあとで発生する問題や課題が書かれていない企画書も多いという。実際には書かれていても、ページ数が多く、専門用語で説明されているため、経営層に伝わらず、導入後に「それは聞いていない」というトラブルになるケースも少なくないということだ。

経営層が読む時間は7分、グラフは見るべき箇所がわかるように

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 では、経営層に伝わるわかりやすい企画書を作るにはどうしたらよいのか。戸田氏は、日商エレクトロニクスの社員が実際に作成し、クライアントに提出した企画書を取り上げ、企画書の作成者とやりとりしながら、ポイントを説明した。

 まず、取り上げた企画書が72ページあり、IT系企業の企画書の特徴にピタリと当てはまると指摘したうえで、プレゼンテーションと企画書の違いについて、次のように説明した。

「プレゼンテーションは言葉で説明しますから、資料には箇条書きや図などのエッセンスだけを書きます。一方、企画書は、言葉による説明がなくても、受け取った側が理解できなければなりません。これがプレゼンテーションと企画書の違いです。これを混同すると、プレゼンテーションなのに文字がたくさん書いてあったり、企画書なのに読んでもわからなかったりといったことになるのです」(戸田氏)

 また、役員に企画書を渡した場合、それを役員が見る平均時間は7分であると紹介し、どうしてもボリュームが増えてしまう場合は、目次を付けて、最も見てほしいページに付箋を貼っておくとよいとアドバイスした。よく利用されるグラフについても、その意図を相手に伝えるには、ただグラフを作っただけでは不十分であるとして、次のように説明した。

「グラフを作る側は、グラフ化したことで、相手が理解してくれていると思っていますが、グラフを見る側は必ずしも理解しているとはかぎりません。グラフの意図を正しく相手に伝えるには、グラフのどこを見ればよいのかを、しっかりとわかるようにすることが重要です」(戸田氏)

【次ページ】どのように強みを見せていくべきか

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