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- 2013/03/29 掲載
大規模災害にも活用されたSNS、企業における個人アカウントの可能性は
連載:ソーシャルメディアの企業活用リスクマネジメント
大震災のインフラとして利用されたSNS
消防庁は2012年の8月から「大規模災害時におけるソーシャル・ネットワーキング・サービスによる緊急通報の活用可能性に関する検討会」を開催している。今夏には試験運用を開始し、その実証実験が行われる予定だ。これは東日本大震災でも経験したとおり、電話回線による緊急通報に障害が発生した場合において、インターネットで利用可能なSNSを活用した緊急通報の可能性を検討することが目的であり、震災の経験も鑑みて検討されている。
実際、東日本大震災の後、さまざまな調査結果から、災害の状況や安否確認に関する情報のやり取りにTwitterやFacebookなどのSNSが活用されたことが報告されている。
震災後におこなったIMJモバイルの調査結果(PDF)では、地震発生時に利用したSNSで、「役に立った」あるいは「やや役に立った」と感じた利用者がTwitterでは79%、Facebookでは62%にのぼり、高く評価されていることがわかった。
このように、個人にとって普段は気軽なコミュニケーションツールとして利用していたSNSが大規模な災害時には情報収集や安否確認のための重要なインフラとなったのだ。
過剰な期待は危険
なぜなら、有効活用された一方では、デマも多く広がってしまったからである。
災害によるパニックからくる人々の誤認が情報として形成され、結果的にデマとなってしまうケースや、中にはおもしろ半分、あるいは悪意を持ってデマを流布し、人の善意を逆手にとって情報を拡散させる者もいる。
人々がパニックに陥った場合に、デマが流れることは今に始まったことではないが、ソーシャルメディアが台頭し、簡単にかつリアルタイムに情報を共有できる現代では、誤った情報がいとも簡単に拡散されてしまう。
東日本大震災の際には、「サーバルームでラックの下敷きになっていて動けない」といったものや「有毒物質の雨が降る」といったデマが多く広がった。これらは後にデマだったことが判明するが、ただでさえ大規模災害により混乱している現場が、大量のデマで溢れかえると、消防、救急、救助など本来必要な任務に支障が出てしまう。
そのため、先述の検討会では、消防活動にSNSを活用するための前提条件として、
1.消防活動を行うために必要な情報(発生場所、災害内容、発信者氏名等)が含まれていること
2.信憑性の低い情報等を排除するためのフィルタリングがなされていること
3.公開されている情報であること
などを規定している。
このように、災害時に信憑性の高い情報を得るためには、フィルタリング方法などの事前の仕組みをしっかり構築しておく必要があるということは知っておく必要があるだろう。
【次ページ】SNSのビジネスユースでの利用シーン
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