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  • 2015/02/09

将棋のプロ棋士がダジャレで人気に?豊川孝弘七段に学ぶ、差別化による「生き残り力」

いま起きている将棋の静かなブームは何によって支えられているのか。将棋を詳しく知らなくとも誰もが知っているプロ棋士 羽生 善治名人(王位・王座・棋聖)の圧倒的な強さ、いやそれだけではない。対局の解説中に言い放つダジャレで人気が急上昇中のプロ棋士 豊川 孝弘七段をはじめとした、プロ棋士のキャラクターそのものが果たす役割が大きい。「将棋の強さ」だけでなく「棋士の個性」が様々な切り口で注目をされている状況から学べるのは、全ての人にとって必要な「生き残り力」という貴重な教訓だ。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

ニコニコ動画の視聴形態と合致し、将棋は静かなブームに

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全ての人にとって必要な「生き残り力」とは?ダジャレで人気の将棋のプロ棋士、豊川 孝弘七段に学ぶ
 近年、プロ将棋界への注目が高まっている。

 流行の発信源はニコニコ動画という動画配信サイトである。もともとは、廉価で配信コンテンツを獲得できるということでタイトル戦の生中継を行っていたのだが、同サイトの「番組を見ながら、視聴者がコメントを映像のなかに書き込んでコミュニケーションを楽しむ」というスタイルにフィットし、ニコニコ動画のなかでも指折りの有力コンテンツとなった。

 たしかに、一手指すために数十分、ときには数時間も長考する将棋の試合を、テレビで生放送するなど考えられない。インターネット上での配信であれば、みんなでコメントを書きあいながらダラダラと鑑賞しても十分成立する。まさしくコロンブスの卵のような、作ったような話であった。

 結果、「過去の遺物のようなゲームであり、古臭くて、地味」という将棋のイメージは今となっては払拭され、むしろ、「ネット時代の新しいコミュニケーションの場」というポジションを獲得しつつある。

 いま起きている将棋の静かなブームの特徴は「誰もが知っているプロ棋士 羽生 善治名人(王位・王座・棋聖)の圧倒的な強さ」によってのみ、支えられているわけではない。強さという単一の尺度ではない様々な個性を持つ棋士が、様々な切り口で注目をされ、時にテレビに出演したり、時に新書を発刊したりと活動を拡げている。

 数年前であれば、将棋に関する知識をほとんど持たない人であればそれこそ羽生 善治名人以外の棋士に関する知識はゼロに等しい、ということも珍しくなかったが、最近だと「加藤一二三さんって、あのお喋りなおじいちゃん、昔は強かったんでしょ」とか「豊川さんっていうあのダジャレの人、あの人の解説で一度将棋を観戦してみたいね」といった具合に、各人のキャラクターによるファンの獲得が実現している。

 これは「棋士が意図してタレントとして名前を売るようになった」ということではない。「将棋界を見つめる社会の側に視点の変化が起きているから起きた」のだと筆者は考えている。

 大胆に言い切ってしまえば、「プロ将棋の世界とは、現実社会のひな形であり、そこで暮らす人々の生き様やそこで起きるイノベーションの波が、我々の暮らすこの社会を考える上でのヒントとなる」という「うっすらとした直観」が働き、それによって、棋士という人々への注目度が高まっているのである。

羽生名人の著書のタイトルは人生指南書のようである

 もともと、棋士の言葉に耳を傾けるときや、棋士の勝負を見守るときの人々の目線には、どこか特別なものがある。羽生 善治名人の数々の著書タイトルに、その傾向を読み取ることができる。

・決断力 (角川oneテーマ21)
・捨てる力 (PHP文庫)
・迷いながら、強くなる (三笠書房)
・大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)
・直感力 (PHP新書)
・40歳からの適応力 (扶桑社新書)
・結果を出し続けるために (日本実業出版社)
・勉強の仕方―頭がよくなる秘密 (ノン・ポシェット)

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 これらは、将棋の専門書ではなく、人生指南書である。

 その昔、棋士への尊敬とは「ギリギリの世界で戦う勝負師の言葉」という意味合いの尊敬であったが、現在の社会においては、随分と風向きが変わっており、「極限まで読みに読む頭脳ゲームを追求する、純粋なる“思考”の世界」といった捉え方が主流となっている。勝った負けたという側面ももちろん重要な要素としてあるが、同様にその思考における「独創性」や「先見性」に重きが置かれている。上記のタイトルからも、それがよくわかる。

 「勝負師」というどこかアウトローな響きのあるイメージから、知的で洗練されたイメージへの転換をもたらした最大の功績者は、羽生 善治名人である。

 一方で、現代将棋界はさらなる変化を遂げようとしており、その台風の目にいるのが、豊川 孝弘七段である。

 豊川七段は、プロ棋士の養成組織である奨励会に羽生 善治名人・森内 俊之九段、佐藤 康光九段、郷田 真隆九段と同期入会をしている。今現在、超一流棋士として活躍しているメンバーであり、プロ将棋界において「羽生世代」と称される輝かしき面々である。

【次ページ】「ダジャレの才能の発見」は差別化戦略の究極形

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