SDxの基盤となる仮想化が、他のインフラに影響を与えない環境変更を可能にする
SDxは今、サーバを対象としたSDC(Software-defined Computing)やストレージを対象としたSDS(Software-defined Storage)、ネットワークを対象としたSDN(Software-defined Networking)、さらにはインフラ全体を包含したSDI(Software-defined Infrastructure)、データセンタを包含したSDDC(Software-defined Datacenter)など、さまざまな領域が対象となっている。ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンター サミット2015に登壇したパケット氏は、SDxの仕組みを次のように説明する。
「SDxでは、仮想化された環境の中で、サーバ/ストレージ/ネットワークがリソースをワークロードに対して提供し、ワークロードがその機能を消費する形になる。またAPIをハードウェア側に用意するという話はよく耳にするが、SDxではハイパバイザーやOSなどソフトウェア側でAPIが呼び出されている。APIがRESTfulになっており、特にソフトウェアコンポーネントの中の仮想化レイヤーを介してAPIを呼び出している」
またパケット氏は、SDxの中で中心的な役割を果たすのが仮想化だと指摘。「この抽象化レイヤーがあることで、何か変更が発生した際にも、他のインフラストラクチャレイヤーにインパクトを与えることなく、変更を加えることが可能となる」と強調する。
「特にIT部門にとって大きなメリットとなるのが、仮想化によってワークロードを移動させることができるようになること。これによってHA(High Availability:高可用性)を担保できるし、災害復旧も容易になる。単に物理的なリソースを集約するだけでなく、アジリティ(=俊敏性)が増すため、自動化を図ることが可能になる」
SDxが価格のコントロールを可能にし、ITコストの低減を実現する
ガートナーの調査によれば、企業内において既に仮想化されたサーバ環境は、2014年の時点で約75%となっており、今後は仮想化できるサーバ環境との乖離も徐々に狭くなってきているという。
「両者の乖離が縮まってきているということは即ち、仮想化環境を管理する能力が自動化できているということだ。自動化が促進されることでサービスの品質は向上し、運用コストも低減できる。計画外停止の少なくとも40%は、オペレータのエラーによって発生しているという調査結果もあるが、自動化によってこの要因を排除することができる」
このサーバ仮想化を考える時、1社のベンダーにするのか、あるいは2社にするのかという質問が数多く投げ掛けられるという。
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