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  • 2016/01/28 掲載

IT戦略をまとめる極意、CEOの胸に響くメッセージの「つくりかた」とは

ガートナーが指南

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新しい戦略計画は、あらゆる企業活動にとっての心臓部とも言えるものである。しかし、その策定にいたるプロセスは一筋縄ではいかない。100ページ以上にもわたるような膨大な戦略計画書はもはや時代遅れである。簡潔にまとめ上げられた戦略こそ、経営層の胸に響くメッセージを伝えることができる。ガートナー リサーチ部門のバイスプレジデントであるヘザー・コレラ氏が、その「極意」を伝授した。
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戦略策定における核心もまた「1ページにまとめる」ことにあるという

ストーリーを簡潔に伝える能力が求められる

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 2015年に話題を集めたビジネス書のひとつに「トヨタで学んだ『紙1枚!』にまとめる技術」(浅田すぐる著、サンマーク出版)がある。トヨタの社員は皆、会議や出張報告、企画提案、打合せなど、あらゆる仕事に書類を「1枚」用意した状態で臨んでいるという。同書はこのノウハウをわかりやすく解説したものだ。

 「Gartner Symposium / ITxpo 2015」のセッションに登壇したガートナーリサーチのバイスプレジデントであるヘザー・コレラ氏も同書を取り上げ、「ぜひこのテクニックに注目してください」と説いた。

 戦略立案やガバナンス強化、効果的なコミュニケーションの確立といった支援を通じて、クライアント企業の成果達成に日々尽力しているコレラ氏によると、戦略策定における核心もまた「1ページにまとめる」ことにあるのだという。

 どんなに優れた戦略やアイデアを持っていたとしても、結局のところ、それがCEOの胸に響かなければ実行には至らない。だからこそ「ビジネス・コンテキストを創造し、ストーリーを伝える能力」が、きわめて重要なスキルとなる。この能力を一言で表したものが、「戦略を1ページにまとめる極意」というわけだ。

 「勝つためには何をする必要があるか?」「成功にはどのようなビジネス・ケイパビリティが新たに必要か?」「成功のためにITはどう貢献するか?」といった経営幹部層の質問に焦点を当て、できる限り簡潔な答えを提示することで、より良い投資判断を促すことが可能となる。「現実問題として、いまなおテクノロジーによる企業への貢献を理解できていない経営幹部層が多いだけに、簡潔に伝える努力が欠かせません」とコレラ氏は語った。

市場で勝つための方法を理解することから始める

 「戦略を1ページにまとめる極意」の最初のステップは、市場で勝つための方法を理解することである。コレラ氏は、TreacyおよびWiersmaによる「戦略的差別化のためのモデル」を取り上げ、企業が市場で勝つためには次の3つの方法があると示唆した。

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市場で勝つためには「1つ」に注力する

 第1は「顧客との親密性」。顧客がその企業に対して非常に親近感を感じており、他には行きたくないと考えるケースである。たとえば、何世代にもわたって付き合いのある地域の「三ちゃん経営」の店舗はこの象徴だ。

 第2は「商品の優位性」。その企業の製品だから、皆がほしいと考えるケースだ。アップルのiPhoneなどがこれにあたる。

 第3は「業務の卓越性」。高品質の製品やサービスを他社よりもローコストで提供することができれば、多くの顧客から選ばれるようになる。

 重要なのは、これらの戦略的アプローチのうちの「どれかひとつ」に注力することだ。これが意外に難しい。多くの企業は3つの方法のすべてで優位に立ちたいと考えるためだが、裏を返せば焦点を絞り切れていないことになる。「残り2つの方法は捨ててもかまわないというくらいの割り切った考え方を持ち、ひとつの方法に注力している企業のほうが、より多くの利益を上げています」とコレラ氏は強調した。

【次ページ】戦略をまとめる極意は反復プロセスにある

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