- 2017/10/24 掲載
日本の遠隔医療市場が「1.6倍」に成長へ、カギを握る「2018年」
2015年は123億円、「遠隔画像診断」が市場をけん引
ICTの活用により、医療機関を直接訪問せずとも可能な診療や診察、医師同士の意見交換や服薬指導、医師と専門検査機関との診断行為などが実現されつつあり、「遠隔医療市場」が拡大している。調査結果によると、2015年度の国内遠隔医療市場規模は122億6,900万円だった。市場全体をけん引したのは「遠隔画像診断市場」であり、同市場はすでに成長期を経て成熟期に移行しているが、今後の技術革新によりさらなる成長が見込まれるという。
遠隔医療では、診療報酬上の課題も指摘されているが、2018年の診療報酬改定でプラス改定が期待されることから、2019年度の遠隔医療市場規模は199億600万円に成長すると予測している。
遠隔画像市場は成熟しているが「右肩上がり」
遠隔医療は、主治医(医師)を基点とすると、対専門医(Doctor to Doctor)と対患者(Doctor to Patient)に分類される。4市場では、対専門医は「遠隔画像診断」「遠隔病理診断」に、対患者は「遠隔診療」と「遠隔健康管理」に市場が位置づけられる。遠隔画像診断市場は、個人事業者の参入など読影事業者数が多くなっており、すでに成熟期を迎えている。しかし、契約施設数や読影件数ともに右肩上がりで推移しており、読影件数は画像診断件数の増加に伴い1ユーザー(医療機関)あたりの依頼件数も安定的に増加している。
一方で、マイナス要因には医療機関数の減少や医療連携、個人健康記録(Personal Health Records)の実現による重複検査の削減などがある。これらは長期的には遠隔読影サービス件数に影響を及ぼす可能性もあるが、中期的には安定的に推移すると予測している。
遠隔病理診断市場が中期的に増加する理由
遠隔病理診断市場は、各装置の画像取得速度や取得画像の画像送信速度、解像度など、すでに機能面での影響は軽微だが、病理医不足や病理医の地域偏在などが指摘される中、病理医1人あたりの診断件数は年々増加している。2018年の診療報酬改定では、病理医不足や病理医の地域偏在などといった現状の課題を是正するような改定や加算(特に術中迅速病理診断の改定や加算)が実施されるとみられる。
このことから、術中迅速病理診断の普及速度の向上や、医療機関への遠隔病理診断用の機器、システムの導入数が増加し、短期的には微増、中期的には増加傾向になると予測している。
【次ページ】2018年に遠隔診療市場が拡大する条件
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