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近年、業務効率化の手段のひとつとしてトレンドになっているRPA(Robotic Process Automation)。リクルートグループで制作・宣伝・流通機能を担うリクルートコミュニケーションズが自らの業務課題を解決するためにこのRPAを導入したのは、2015年秋。現在同社では、リクルートグループを横断してRPA導入~運用保守まで行っている。これまで120以上の業務を自動化させてきた同社のRPA活動創始者にして拡大リーダーである同社 小路聡氏に、そのキーファクターを聞いた。
執筆:吉田育代、聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 渡邉聡一郎
執筆:吉田育代、聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 渡邉聡一郎
労働集約的な仕事に限界を感じていた
リクルートコミュニケーションズは、主にリクルートグループにおいて横断的にマーケティングや広告制作を通じた集客・成約ソリューションや、その流通、カスタマーサポートなどさまざまな業務を提供する企業である。
同社の業務の一つに「業務設計」があり、メディア・サービスの生産プロセス全過程における業務設計、品質担保、コスト改善を行っている。たとえば、既存サービスについては制作・運用体制の最適化を図ったり、リニューアル・機能追加など制作フローの構築を行うとともに、新規サービスでは商品業務やKPIを設計したり、営業現場へのその展開、効果検証などを行うといった具合だ。
同社がリクルートグループの業務最適化や生産性向上の手段としてRPAに着目したのは、2015年秋のことだ。当時、小路聡氏はあるメディア運用のグループマネージャーを務めていた。
「メディア運営における細かな業務を手作業で行うグループメンバーの労働集約的な仕事の仕方を見て、前々から限界を感じていました。一部システム化されたものもあったのですが、臨時企画など対応が追いついていないものも多く……。そこで当時出たばかりのRPAを試しに使ってみたのです」(小路氏)
当時国内ではRPAツールの選択肢がそれほどなく、2つの製品を比較検討してその1つを導入。Web広告制作物の流し込み、DMのリンクチェックなどの業務に導入していった。限定的な範囲の業務ではあったが、確かな効果を実感した小路氏は「似た課題を抱えるグループ会社は多いはず」と考え、同氏はグループ企業へ提案活動を開始した。
想定していたのは同じような業務を自動化することだったが、いざ出向いてみると「ほかにも困っていることがある」と言われるケースも多かった。そこで、その業務内容をヒアリングして新たに自動化を設計していくことを繰り返しながら活動の範囲を広げていった。
すでに120業務をRPA化、最大16人月分の工数創出
始めたときは3人で、小路氏も従来の仕事との兼業で進めていたRPA活動だったが、現在ではRPAの支援を專門とするプロセスオートメーション推進グループという専門部署が創設された。
メンバーは約30名(外部パートナー含む)で、小路氏はマネージャーとしてRPA活動を率いている。これまでRPA化した業務は約120あり、最も大きな効果を発揮した事例では16人月分の工数創出を達成した。
同社のこだわりとして、グループ企業のRPA支援においては多くの場合、設計から開発、運用・保守までの全プロセスを請け負っている。これは最初から意図していたことだった、と小路氏は語る。
「我々が目的としているのは機械的にロボを導入することではなくて、BPR(Business Process Re-engineering:業務改革)という手段により、業務が最適化された状態を実現、提供することです。RPAの導入支援だけですと、RPA導入自体が目的化し、実現したい状態や結果が曖昧なままRPAが意図なく使われていたり、導入後のメンテナンス検討がされなかったため業務変化に対応できずに放置されている……そんな事例を今まで山ほど見てきました」(小路)
そのため、RPA導入後に実現した状態の設計から導入後のトラブル対応までリクルートコミュニケーションズではすべてカバーしている 。
「“設計はコンサル会社”“開発はSIer”“運用・保守は自社 or アウトソーサー”といった座組もよくありますが、それぞれのフェーズでKGI、KPIが異なってしまいます。当初の目的に対して、必ずしも最善の結果がもたらされるわけではありません」(小路氏)
【次ページ】RPA適用業務の公式とは何か
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