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  • 2012/10/22

Webサービス上で名誉毀損等が行われたら、管理者はどこまで責任を負うのか?

SNSやクチコミサイトの落とし穴?

CGM(Consumer Generated Media:消費者生成メディア)などが注目を増している。例えばSNSやクチコミサイト、Q&Aサイトといったような、ユーザーからコメントやレビューをもらうWebサービスを運営している、もしくは運営を検討している企業は多いだろう。こうした企業は、問題のある書き込みがなされた場合の対処について理解しておく必要がある。名誉毀損やプライバシー権侵害、著作権侵害などにあたる書き込みを放置しておくと、被害者から損害賠償請求を受けたり、最悪の場合には刑事責任を問われる可能性があるからだ。

弁護士 河瀬 季

弁護士 河瀬 季

東京大学 法学政治学研究科 法曹養成専攻 卒業。
2002年からIT関連フリーランスとして、SBクリエイティブ社の雑誌への寄稿、書籍の全編執筆などの執筆活動や、各種ウェブサービスの開発等を行う。司法試験合格後は弁護士として、ITとビジネスに強いコスモポリタン法律事務所(東京・音羽)に所属。自らも、複数のIT企業の顧問弁護士などとして、新興企業支援や知的財産権管理、資金調達などを含む、各種の企業法務に携わっている。
個人サイト:http://tokikawase.info/
Twitter:http://twitter.com/tokikawase


 自社のWebサービス上で行われる名誉毀損等の問題を考える上では、いわゆるプロバイダ責任制限法について検討する必要がある。しかし、同法は名前の通り、「責任」の「制限」、つまり免責を定めるものだ。「制限」されるべき責任は、民法など他の法律によって生じるものだ。

 本稿では、Webサービス運営者等がいかなる責任を負い、どのように免責されるかという点について概論を述べる。

 なお、プロバイダ責任制限法のいう「プロバイダ」は、法律条文上では「特定電気通信役務提供者」のことだが、これはインターネットサービスプロバイダのみならず、Webサーバー管理者などをも含む概念であり、Webサービス運営者も含まれると考えられている。

Webサービス運営者の責任とプロバイダ責任制限法の位置付け

 ユーザーからの書き込みは、名誉毀損やプライバシー権侵害などにあたりうる。その場合、被害者に対する民法等に基づく損害賠償責任や刑事責任を問われるのは、もちろん原則として、書き込みを行ったユーザーだ。しかし一定の場合には、当該Webサービスの運営者たる企業も、これらの責任を負うことになる。

 従って、Webサービス運営者としては、法的に問題のある書き込みを判別して削除を行う必要がある。ただ、この判別は必ずしも容易でないことから、いわゆるプロバイダ責任制限法は、Webサービス運営者に対して一定の免責を認めている。

 なお、プロバイダ責任制限法は、Webサービス運営者が書き込みを削除した場合の、書き込みを行ったユーザーに対する損害賠償責任に関する免責や、いわゆる発信者情報開示についても規定を置いているが、本稿では割愛する。

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図1■「Webサービス運営者等の責任」の判断枠組み

書き込みを行った者の責任

 Webサービス運営者の責任について検討する前に、前提として、書き込みを行ったユーザーの責任について概要を述べる。書き込みを行ったユーザーは、民事上の責任と刑事上の責任を負う可能性がある。

 民事上の責任とは、具体的には、名誉毀損やプライバシー権侵害、著作権侵害等に基づく損害賠償責任だ。被害者は書き込みを行ったユーザーに対して、民法等に基づき損害賠償請求を行うことになる。

 また、プライバシー権侵害は刑事上では罪に問われないが、名誉毀損や著作権侵害は、刑事上の罪でもある。さらに、名誉やプライバシー等を侵害しない情報であっても、わいせつ画像や「風説の流布」などが書き込まれた場合には、書き込みを行ったユーザーは刑法や各法律によって刑事責任を負うことになる。

 これらの責任は、書き込みを行った者のみが負うことが原則だが、一定の場合には、Webサービス運営者も同じ責任を負わされることになる。それはどのような場合か、というのが、ここでの問題だ。

Webサービス運営者の責任:民事上の責任

 以上より、Webサービス運営者の責任としても、民事上の責任と、刑事上の責任が問題となる。まず民事上の責任だ。

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