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- 2013/03/18 掲載
ついに始まるTPP交渉、国民が「蚊帳の外」にいる理由
「5勝2敗8分」をどう分配するか
東京大学 法学政治学研究科 法曹養成専攻 卒業。
2002年からIT関連フリーランスとして、SBクリエイティブ社の雑誌への寄稿、書籍の全編執筆などの執筆活動や、各種ウェブサービスの開発等を行う。司法試験合格後は弁護士として、ITとビジネスに強いコスモポリタン法律事務所(東京・音羽)に所属。自らも、複数のIT企業の顧問弁護士などとして、新興企業支援や知的財産権管理、資金調達などを含む、各種の企業法務に携わっている。
個人サイト:http://tokikawase.info/
Twitter:http://twitter.com/tokikawase
いよいよ本格始動するTPP交渉

自社の携わる分野にも、TPPによる影響がありそうだ、という人も多いだろう。保険制度なども変革を迫られる可能性がある、と報道されている。
また、企業や資本が、外国で不当な差別を受けた場合に、その外国の政府に対して損害賠償請求を行うことを認める「ISD条項」には、アメリカの投資家による日本政府への巨額の賠償請求に利用されるのではないか、不当な内政干渉や国内企業への打撃に繋がるのではないか、といった批判もある。
ただ、TPPに対する慎重論の中には、「条約」に関する誤解に基づくものも見受けられる。本記事では、TPPや、いわゆる「包括通商条約」の仕組みや、さらに、いよいよ始まるTPP交渉過程において、情報開示を求めることはどの程度可能なのか、といった議論までを紹介する。
条約の締結、承認や国内法整備の関係
ネット上では、「TPPではこのようなシステムの導入を要求される可能性が高い」「今の日本の法制度にそのシステムを足すとこうなる」「それは良い/悪いことだ」、というように議論が進められることが多い。ただ、(A)条約の締結と(B)承認や(C)国内法の整備は別の問題だ。簡単かつ乱暴に説明すれば、(A)条約とは「このような国内法をお互いに作ろう」といった取り決めであり、必ずしもそれ自体が国内で法律として機能するものではない。(B)国会が条約を承認し、(C)取り決めに従って国内法を改正するなどして、初めて国内で法律として機能するのだ。
しかし、抽象的な説明では分かりにくい。まずは、著作権法の非親告罪化を具体例として、この問題について検討する。……実は、そもそもTPPにおいて非親告罪化の要求が行われるか否かには疑問があるのだが、「行われない保障はない」ということと、関心が高まっている話題であるという理由より、これを例にする。
日本の著作権法とアメリカの著作権法の関係
大まかに言って、日本の著作権法は、例えばアメリカの著作権法と比べると、著作権侵害を緩やかに認め、非親告罪であることによってバランスを取る、という作りになっている。今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
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