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10月1日、いわゆるダウンロード刑罰化を定める改正著作権法が施行される。これまでプライベートや仕事上で何気なく行っていた「ダウンロード」により、逮捕されるようになってしまうのでは……と危惧するビジネスマンもいるはずだ。また、「刑罰化」ということは、警察による捜査が行われるようになるということなので、企業によっては、捜査に巻き込まれ、協力しなければならなくなることも考えられる。ダウンロード刑罰化は、一般メディアなどでも取り上げられる話題だが、断片的な情報が多いため、例えば「では漫画のダウンロードは逮捕されるのか?」「仕事上うっかり著作権侵害ファイルをダウンロードすると逮捕されるのか?」といった疑問に対する答えがよく分からないし、著作権法は頻繁に改正されているので、例えばダウンロード違法化との関係もよく分からない……という人が少なくないはず。本稿では、ダウンロード刑罰化の基礎や、ビジネスマンが知っておくべきポイントを取り上げる。
「ダウンロード刑罰化」の概要
ダウンロード刑罰化の対象は、あらゆる違法ダウンロードという訳ではない。「特に悪質な海賊版に対応するため」といった目的の刑罰化であるため、違法ダウンロードの一部が対象になっているのだ。具体的には、以下の条件を全て満たすダウンロードだけが、刑罰化の対象だ。
(1)私的使用目的:
後述するように、商用利用などのためにダウンロードする行為は、今回の改正前から刑罰対象。「私的使用目的」であっても刑罰化される、というのが今回の改正のポイントだ。
(2)「有償著作物等」の著作権侵害:
後述するように、映画など、有料で売られるコンテンツのみが刑罰化の対象。フリーで公開されているアマチュアの映像などは除外されている。
(3)「自動公衆送信」による:
いわゆる「ダウンロード」の対象となる送信方法を指す。ウェブやファイル共有ネットワークはこれに含まれ、電子メールやメッセンジャーは含まれないと考えられている。
(4)デジタル方式の録音または録画:
「録音または録画」であるが故に、対象は映像や音楽に限られる。漫画や書籍は含まれない。
(5)著作権侵害であることを知りながら:
自らの行うダウンロードが適法だと誤信していた場合は対象に含まれない。
「刑罰化」の意味と「違法化」との違い
「刑罰化」という言葉の大まかな意味は以下のようになる。
違法ダウンロードは従前から「違法」だが、「違法」だからといって、逮捕されたり有罪判決を受けたりするとは限らない。例えば、不倫は夫婦の貞操義務に違反する行為であり、損害賠償責任を生じさせると考えられている。しかし現代日本には「姦通罪」などは存在しないから、不倫を行っても逮捕されることはないし、その前提として、警察に捜査を受けることもない。
深入りするとややこしくなるテーマだが、上記の例からも、損害賠償責任を生じさせる「民事違法」と、「刑罰対象」の区別が可能だ。ダウンロード刑罰化は、2010年の「ダウンロード違法化」の時点では刑罰が用意されていなかった違法ダウンロードの一部について、刑罰を用意したものであり、従来から「民事違法」だった部分を「刑罰対象」に格上げするものだ。
著作権法におけるダウンロードの扱い
以上のように、刑罰化の対象は、いわゆる「違法ダウンロード」の一部だ。このように、著作権法、特にダウンロード関連の規定は、原則・例外関係が複雑化している。違法ダウンロードは原則として民事違法だが、10月1日以降、その一部のみが例外として刑罰対象である、というように。
この関係が分かっていないと、「刑罰化の対象ではないダウンロードなら行って良い」というような誤解をしやすい。そこで、著作権法のダウンロード関連規定に関して、簡単に全体像を見てみよう。
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