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いよいよ本日19日、Amazonの電子書籍閲覧用ハードウェア「Kindle Paperwhite」が発売開始となる。2012年は、ついにやってきた電子書籍元年と言えそうだ。しかし、華やかな舞台の裏で、公正取引委員会(以下「公取委」)が介入の可能性を示唆している、という報道もなされている。出版社とAmazonの契約が、独占禁止法(以下「独禁法」)の禁止する「再販価格拘束」にあたるかもしれないからだ。実は、これは、電子書籍やオンラインショップに限らず、およそ「Aが商品を持っていてCに譲り渡される、その過程にBが関わる」というスキームで商品流通を行う場合一般に関係する話だ。本稿では、電子書籍のスキームや、公取委が問題視しているとされるポイントから、商品流通スキームを組み立てる場合の注意点までを解説する。
電子書籍販売における二つのモデル
「ユーザーはAmazonで電子書籍を購入する」
クリアな文章だ。小学生だって、その意味を理解することができるだろう。
しかし法的な視点から見ると、この文章は「クリア」とは言いがたい。差し当たり二点、分からないことがある。
一番目に、「電子書籍を」というが、ユーザーが購入するものは何なのだろうか。「電子書籍というデータ」なのだろうか、「それを読むためのライセンス」なのだろうか。……ただ、これは今回の本題ではない。後で少し出てくるが、「そういう問題もある」ということだけ、頭の片隅に置いておいてほしい。
二番目が今回の本題だ。「購入し」というのは、法律上は「売買契約」であり、売買は、日常的意味でもそうであるように、売主と買主の間で行われる。「買主」は我々ユーザーだが、では、「売主」は誰なのだろうか。
この問いに対する選択肢は2つある。
(1) ユーザーはAmazonから電子書籍を購入している。Amazonは出版社から電子書籍を購入し、ユーザーに販売している
(2) ユーザーは出版社から電子書籍を購入している。Amazonは、出版社とユーザー間の売買契約を手助けしている
(1)を「ホールセール(卸売)モデル」、(2)を「エージェンシー(代理店 )モデル」という。一般紙等でも使われ始めている用語なので、本稿では、以下この用語を利用する。
ホールセールモデルとエージェンシーモデルの違い
上記の問いに対して、「ホールセールモデルとエージェンシーモデルとで、何が違うのか?」と疑問に思った人もいるはずだ。その感覚は正しい。社会的事実として言えば、どちらのモデルであれ、ユーザーはAmazonサイト上で電子書籍を購入し、代金は一度Amazonの元に入り、Amazonが(その何十%かを)出版社に払うのだ。その社会的事実、それを作っているスキームを、どちらのモデルと構成するか、という問題である。
ただ、モデルによって、大きく違いが出る点がある。「再販価格拘束の禁止」という、独禁法の規律が適用されるか否か、という点だ。
独禁法の「再販価格拘束の禁止」とは
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