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  • 2013/01/31

医薬品ネット販売紛争、最高裁判決と今後

立法vs司法の戦いが始まる?

2013年1月11日、最高裁が、インターネット上での医薬品販売を認める判決を下した。「これでネット上で医薬品を購入できるようになる」「他の規制なども緩和されないか」など、今回の訴訟に関心を持っていた人も多かったのではないだろうか。インターネット上での医薬品販売を巡る紛争は、「三権分立下における三権相互の対立」などとも評価されており、立法や行政による企業活動の規制、それに対する裁判での争い方、判決の効果……といった観点から興味深い事例だ。医薬品売買に関わる人のみならず、法律や行政による規制を受ける業種、即ち、ほぼすべての業種に関わるビジネスマン向けに、今回の紛争や、経済活動規制一般、それに対する戦い方などを解説する。

弁護士 河瀬 季

弁護士 河瀬 季

東京大学 法学政治学研究科 法曹養成専攻 卒業。
2002年からIT関連フリーランスとして、SBクリエイティブ社の雑誌への寄稿、書籍の全編執筆などの執筆活動や、各種ウェブサービスの開発等を行う。司法試験合格後は弁護士として、ITとビジネスに強いコスモポリタン法律事務所(東京・音羽)に所属。自らも、複数のIT企業の顧問弁護士などとして、新興企業支援や知的財産権管理、資金調達などを含む、各種の企業法務に携わっている。
個人サイト:http://tokikawase.info/
Twitter:http://twitter.com/tokikawase


医薬品ネット販売紛争の最高裁判決

 医薬品のネット販売に対する規制は、当初から賛否両論を巻き起こしていた。インターネット上では対面販売を行うことができず、副作用被害などのおそれが大きい、従ってネット販売は望ましくない……というのが規制の理由なのだが、これに対しては、募集に応募されたパブリックコメントの85%が規制反対、という状態だったのだ。

 現在の日本では、特に企業活動に対する規制について、制定手続が複雑で政治対立などを引き起こしかねない法律には曖昧な規定を置くに止め、その下位に位置する「制令」や「府令」、「省令」で具体的な規定を置く、ということが珍しくない。医薬品のネット販売も、薬事法上は禁止されているのか否か明確でなく、「省令」によって明確に禁止とされていた。「同じような規制は自社の関わる業種にもある」、という人も多いのではないだろうか。

今回の訴訟は何を争っていたのか

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1月11日、最高裁は、ケンコーコム・ウェルネットの医薬品ネット販売権を認める判決を下した。(PDF
 今回の訴訟で争われていたのは、ケンコーコム・ウェルネットが、「第一類医薬品」および「第二類医薬品」をインターネット上で販売する権利または地位(以下簡便のため「医薬品ネット販売権」と呼ぶ)を持っているか否か、という点だ。

 医薬品は安全性によって3種類に分類されており、ネット上で販売できるのは、最も安全性の高い「第三類医薬品」のみだとされていた。例えば、アリナミンEXが第三類、ルルAゴールドが第二類だ。ネット販売事業者であるケンコーコム・ウェルネットは、「第一類」「第二類」の医薬品を売ってはならないとされていたのだが、しかし、それらを売る権利があるのではないか、ということを確認する訴訟だ。

「侵害」と法律の根拠

 今回の訴訟や医薬品のネット販売規制について検討する前に、まず確認しておきたいのは、「医薬品をインターネット上で販売すること」は本来自由であり、法律や省令による規制は、それを制限するもの(侵害)である、ということだ。

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