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- 2013/06/03 掲載
グーグルのサービス一覧まとめ、プロダクトポートフォリオでその強さを読み解く
連載:世界ハイテク企業ウォッチ
アップルとグーグルは何が違うのか
テクノロジー企業のプロダクト管理には大きく分けて2つの方向性があると筆者は考えます。まず1つは、“これだ”と決めたものに経営資源(ヒト、モノ、金)を一気に投入して、圧倒的なシェアを取るタイプ。そして、もう一つは、いろいろやってみて、うまくいったものを育てるタイプです。前者の集中型の代表例は、言うまでもなくアップルです。アップルの製品は、Mac、iPhone、iPad、iTunesなど両手で数える程度しかありません。
これは、故スティーブ・ジョブズがアップルのCEOに返り咲いたとき、PDA(携帯情報端末)のNewtonなど数多くの製品をバッサリ捨てて、プロダクトをわかりやすくしたことに由来します。そして、スティーブ・ジョブズのようなカリスマが常にリーダーシップを発揮して、プロダクトを世に送り出せば、このモデルは絶大な威力を発揮します。
ただし、本コラムの第1回 「イノベーションのジレンマ抱えるアップル、突破口に待ち受ける日本企業のさらなる苦難」でも触れたように、カリスマ亡きあと、この方針が曲がり角に差し掛かっているのも事実です。
一方、“いろいろやって、うまくいったものを育てるタイプ”の代表例は、グーグルです。グーグルは“世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする”という使命のもと、幅広い分野でサービスを提供しています。
プロダクトポートフォリオから読み解くグーグル
グーグルの事業は、プロダクトポートフォリオマネジメントというフレームワークを用いることでうまく説明することができます。プロダクトポートフォリオマネジメントとは、文字通り、プロダクトのポートフォリオ(組み合わせ)を管理する考え方です。前述のアップルでは、プロダクトが多くないので、こうしたフレームワークでは説明しにくいですが、膨大なサービスを提供するグーグルにおいては、プロダクトの管理こそがグーグルの経営にとって最も大事な点になるというのが筆者の見方です。
具体的には、プロダクトポートフォリオは、市場成長率を縦軸、相対的なマーケットシェアを横軸として、その縦軸・横軸について、自社のプロダクトを以下の分類に当てはめます。
- 市場成長率 高い × マーケットシェア 高い → 花形 (Star)
- 市場成長率 高い × マーケットシェア 低い → 問題児 (Problem Child)
- 市場成長率 低い × マーケットシェア 高い → 金のなる木(Cash Cow)
- 市場成長率 低い × マーケットシェア 低い → 負け犬(Dog)
特筆すべき点は大きく3つあります。
- 「問題児」をM&A、自社開発などの手段で失敗を恐れず、「花形」に育てる点
- ユーザー数が増えない事業については“春の掃除”などで潔くサービスを終了する点
- 花形事業→金のなる木へと成熟化しつつある事業についても、組み合わせによって再び花形事業へ進化させる点
次ページでは、これを1つずつ見ていきましょう。
【次ページ】“金のなる木”を再び“花形”に
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