インテルといえば、1970年代に世界で初めてCPUを開発して以来、世界の半導体ビジネスをリードし、さらには1990年~2000年代にかけて成長するPC市場でマイクロソフトのWindowsとIntelのCPUがOS・CPUを独占したことから「Wintel時代」とも呼ばれ、圧倒的優位なポジションを築き上げました。
しかし、2010年代のPCからモバイルへのシフトとともに競争優位性にかげりが見え始め、過去2年間でNASDAQ指数が+30.4%(2012年3月19日~2014年5月15日)上昇に対して、インテルはわずか+1.9%と株価パフォーマンスも冴えません(
図1)。
PC向けCPUで稼ぐインテル
今後のインテルの業績に対する不透明感──それは、
図2に示す売上高PC比率の低下でおおよそ説明することができます。同社のPC事業(PC Client Group事業)の主力は、デスクトップ、ノートPC向けCPU。2014年第1四半期での売上高は、79.4億ドル、営業利益は28億ドル(営業利益率35.3%)とサーバ向けCPU(Xeonシリーズ)と並んで同社の稼ぎ頭です。
この分野において、インテルは圧倒的なマーケットシェアを有しているため、ASP(Average Sale Price:平均売価)は10年近く下がることなく固定している一方で、製造コストは下がっているため、結果として、マージンは拡大しています(
図3)。
この盤石に見えるPC事業の最大の問題点は言うまでもなくPC市場の縮小です。
同社の売上高に占めるPC事業の比率は、2013年第1四半期64%から1年で62%と減少傾向にあります。もちろん、インテルとしては、手をこまねいているわけではなく、「2 in 1」(タブレットとPCの両用PC)の拡販の強化など、縮小するPC市場に対して手を打っています。しかし、PC市場が今後再び上昇に転じる可能性は低く、たとえマージンが拡大しても、出荷台数の減少によりじり貧になる可能性が高いというのが筆者の見方です。
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