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  • 2014/07/11 掲載

孫 正義氏とコリン・パウエル氏が語る交渉の極意 「いかに妥協点を見出すか」

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2014年6月18日、夢の対談が実現した。孫 正義氏の後継者発掘・育成・見極めを目的とした組織ソフトバンクアカデミアの特別講義スピーカーとして、アメリカ元国務長官 コリン・パウエル氏が登場。ホスト役を務めた孫 正義氏と、通訳なしのトークショーを行った。移民政策はどうあるべきか、リーダーとして何が一番難しい決断か。対談は、孫氏が考えた質問にパウエル氏が答えるという形で進んでいき、多彩な話題をざっくばらんに語り合った。

執筆:フリーランスライター 吉田育代

執筆:フリーランスライター 吉田育代

企業情報システムや学生プログラミングコンテストなど、主にIT分野で活動を行っているライター。著書に「日本オラクル伝」(ソフトバンクパブリッシング)、「バックヤードの戦士たち―ソニーe調達プロジェクト激動の一一〇〇日 」(ソフトバンクパブリッシング)、「まるごと図解 最新ASPがわかる」(技術評論社)、「データベース 新たな選択肢―リレーショナルがすべてじゃない」(共著、英治出版)がある。全国高等専門学校プログラミングコンテスト審査員。趣味は語学。英語と韓国語に加えて、今はカンボジア語を学習中。

パウエル氏 「日本は移民政策を進めるべき」

photo
ソフトバンク
代表取締役社長 兼 CEO
孫 正義氏(左)

元米国務長官
コリン・パウエル氏(右)
 孫正義氏にとって、コリン・パウエル氏は日ごろから手本と仰ぐリーダーだったようだ。また、両者大きな共通点があり、同氏に親近感を抱いていたという。

 それは自分たちの一世代前、二世代前が移民であったという点である。この日の対談で孫氏が最初に挙げた話題も移民に関してのものだった。

 日本は99パーセント以上が一つの民族からなり、同一性の高い国家だが、この先日本はその伝統を打ち破って移民政策を進めていくべきなのか。孫氏はパウエル氏にそう聞いた。それに答えてパウエル氏は「そうすべきだ。それ以外に道はない」と言い切った。

「日本の歴史も文化もよく知っている。しかし、今や人口は減少し続けており、労働人口は老齢化の一途をたどっている。若い人々だけでは上の世代の面倒を見ることができなくなっているのではないか。第一線で働いてくれる人々が必要だ。移民が日本に来たからといって、日本の文化は壊れない。彼らは日本へ来れば、日本人になる。」(パウエル氏)

 パウエル氏はアメリカの例を出して説明した。

「アメリカはまさにそれを実行し、現在は“移民”と呼ばれる人の割合が10パーセントを超えた。少し増えすぎたという意見も出ているが、アメリカでは移民労働者は空港やレストランなどどこでも目にすることができ、彼らが国の活力となっている」

 日本の中には、“人口が少なくなっても移民を受け入れるよりは今のままがいい”という意見がある。それを孫氏が紹介すると、パウエル氏は「それも一つの選択だろう。しかし、人口が減少し続けると、現在の経済成長が維持できなくなる」と憂慮を示した。

リーダーとして最も難しかった決断

 対談のテーマは、やがてリーダーシップ論へ移っていく。

 孫氏は長いリーダーとしてのキャリアの中で、最も難しかった決断は何だったかと尋ねた。これに対しパウエル氏は、「決断というものはほとんどすべて難しいが、その中でも最も困難な決断は開戦命令を下すことだった」という。

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 パウエル氏は米国陸軍幹部時代、周囲から“前向きでない将軍”と呼ばれていた。軍人でありながら米国軍が出撃することには反対で、何とか外交や政治で問題を解決することを願っていたという。戦争は嫌いだとはっきり述べた。

 パウエル氏は、その理由を以下のように語った。

「戦争をすれば若い兵士たちが戦地へ赴くことになる。そして敵・味方の双方に犠牲者が出る。敵の兵士にも両親がいて彼らの死を悲しむ。戦争というのはそういうひどいものなのだ。そして、私の手元には次々と犠牲者の名前が届けられる。それを見ると何かまちがった決断をしたのではないかと恐ろしくなる。だからパナマ侵攻のときも、湾岸戦争のときも、攻撃の決断をすることはほんとうに苦しかった」(パウエル氏)

【次ページ】パウエル氏が尊敬するリーダーとは?

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