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  • 2014/10/03

なぜトヨタは売上規模数十倍だったGMとの「差額」を集計したのか

連載:トヨタに学ぶビジネス「改善」の極意

前回、さまざまな「見える化」について紹介したが、今回は目標達成に必要なトップとの“差額”を見えるようにすることの大切さについて触れてみたい。「目指せ日本一」「目指せ世界一」という目標を掲げる企業は少なくないはずだが、では自社とトップとの「差額」をどこまでみんなに見えるようにしているかというと案外少ないのではないだろうか。トヨタの原点、それは世界ナンバーワン企業GMとの差額を知ることから始まっている。

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

カルマン 代表取締役社長 若松 義人

1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大字自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著書に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』『トヨタ流「改善力」の鍛え方』(以上、成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』 『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』『トヨタの社員は机で仕事をしない』『なぜトヨタは逆風を乗り越えられるのか』(以上、PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタ式「スピード問題解決」』 『「価格半減」のモノづくり術』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ流最強社員の仕事術』(PHP文庫)、『先進企業の「原価力」』(PHPエディターズ・グループ)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和出版)、『トヨタ式改善力』(ダイヤモンド社)などがある。

トップに立つためにはトップとの差を正確に知る必要がある

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錦織 圭 選手
(Photo by si.robi

 全米オープンテニスにおける錦織圭選手の準優勝にはどれほど多くの日本人が勇気づけられたことだろうか。さまざまなスポーツで日本選手の活躍は目覚ましいものがあるが、それでも体力差という埋めがたい差によって男子テニスが世界のトップテンに入ることは長く不可能と考えられていただけに、錦織選手の活躍には余計驚かされた。

 5歳でテニスを始め、11歳で全国小学校選手権に優勝した錦織選手は、わずか13歳でアメリカのIMGアカデミーに入っている。日本にはいないライバルを求めての挑戦だったというが、いざ入ってみると、ライバルどころか、はるかに格上の選手が20人もいて、最初はまったく勝てなかった。

 日本での自信がこなごなに打ち砕かれた錦織選手はその後、厳しい練習を続けることで、2年目に勝てはしないものの何とかポイントがとれるようになり、やっと3年目から勝てるようになったという。当時を振り返ってこんな言葉を口にしている。

「2年間負け続けて、努力の必要性を感じました。負けるとコーチにすごく叱られるんですが、それもいいことだと思っています」

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 やがてプロデビューした錦織選手の才能は早くから世界が認めていた。2008年、名選手ラファエル・ナダルは無名の錦織選手から1セットを奪われ、こう評した。

「とても才能のある選手だ。必ずランキングトップ10に入る」

 やがてナダルの錦織評が正しかったことが証明されるわけだが、トップ10に入ることと4大大会で優勝することはイコールではない。そこには大きな壁があり、その壁を埋めるべく錦織選手を指導したのがマイケル・チャンコーチである。

 錦織選手のブログによると、当初期待していたのは精神的なアドバイスだったが、チャンコーチは実に10個もの技術的な指導を行うことで、錦織選手を飛躍的に成長させている。

 トップに立つためにはトップとの差を正確に知る必要がある。それが10個もの技術的修正であり、精神的な強さであり、決勝まで戦うことのできる体力の強化だった。

 錦織選手の素質は早くから世界が認めていた。それでもナンバーワンになるためには超えるべきたくさんの壁があり、その差が何かを知り、着実にその差を埋め続けたからこそ決勝に進むことができたし、「勝てない相手はいない」という発言につながったのだろう。

 アスリートに限らず、企業もナンバーワンになるためにはトップとの差を正確に知ることが欠かせない。トヨタ時代の筆者にとって忘れられない仕事の一つが、GMとトヨタの比較だ。両社の「差額」をバランスシート上に表現するための工夫をするという作業である。

【次ページ】トヨタ式は原価比較でトップとの『差額』を知る

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