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  • 2015/11/16 掲載

YKK 吉田会長が「一番大事なステークホルダーは従業員」と語る理由

CSV時代のマーケティングとは

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ノーベル賞を受賞した経済学者、ミルトン・フリードマン氏はかつて「企業の社会的責任はたった一つ、利益を上げることだ」と述べた。しかし、資本主義の“利己的な”側面が取りざたされる中、企業は、自社の利益の追求だけでなく、社会的な課題を解決する責任を求められる。「社会的価値を創造するマーケティング」とはどういうものか。YKK 代表取締役会長CEOの吉田 忠裕氏、ネスレ 執行役員のメラニー・コーリー氏、Conscious Capitalism Inc. 共同創業者のラジュ・シソディア氏、Entwine Digital 社長のアイラ・カウフマン氏が「ワールド・マーケティング・サミット・ジャパン2015」で語った。

日本企業の「意欲的な社員」はたったの7%!人を大切にする「コンシャス・カンパニー」とは

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『世界でいちばん大切にしたい会社(原題:Conscious Capitalism)』の共著者でもあるラジュ・シソディア氏
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 企業が果たすべき社会的責任(CSR)とは何かについて、『世界でいちばん大切にしたい会社(原題:Conscious Capitalism)』の共著者でもあるシソディア氏は、「利益の追求だけが資本主義の側面ではない」と語る。

「企業は、自社の利益だけでなく、社会の公益、社会に価値を創出することが重要だ。これが『コンシャス・キャピタリズム(意識の高い資本主義)』だ」

 コンシャス・キャピタリズムとは、社会を主要な、最も重要なステークホルダーと考える。18世紀の産業革命により、大量生産が可能となり、人々の生活水準は向上した。一方で、自由主義、資本主義により「文明は人々を再び野蛮人に戻してしまった」とシソディア氏は語る。

「企業は、自己利益だけを追い、利益、所得は上がったが、代わりに人間は尊厳を失ってしまった。しかし、人間を大事にすることが本当の資本主義であり、それを失ってしまった状態は『アンコンシャスな(無意識な)資本主義』といえる」

 シソディア氏によれば、ビジネスの本質は人材であり、最終的には人材、人の生活を高めることにビジネスの目的はある。言い換えれば、ビジネスには、人間を大切にするという崇高な理念が必要だ。

「顧客、株主、サプライヤー、環境、あらゆるものとWin-Winの関係を構築するためには、お互いを信頼し、人間を大切にする考えを持つビジネスモデルが必要だ。政府の努力、NPOの活動だけでは貧困は解消できない。しかし、企業にはそれができる」

 しかし、多くの企業は、働く人が多大なストレスに苛まれている。一説によれば、心臓発作の発生率は月曜日の朝が一番高いといわれるし、アメリカの企業では、30%の社員が意欲的で、50%は意欲的でなく、20%の社員は意欲を持とうとしないともいわれる。さらに、日本企業においては、意欲的な社員の割合はたった7%に過ぎないという数字もある。

 では、企業が資本主義に対する信頼を回復し、コンシャス・キャピタリズムを実現するにはどうしたらいいか。シソディア氏は、一例として米国随一の大型自然食品店「ホールフーズ・マーケット」の取り組みを引いた。

「同社の社員が作成を担当した企業理念『相互依存宣言』は、ビジネス生態系の中で、人材教育、健康、環境などさまざまな側面に配慮するという高い意識を持っている。一般的なアメリカの企業における経営者と従業員の給与比率は300対1といわれるが、ホールフーズでは、マーケティング費用を抑え、経営者のサラリーを従業員の19倍に抑えるサラリーキャップが厳格に守られている」

 人々の生活を良くして、利益を上げることは決してトレードオフの関係ではないとシソディア氏は語る。なぜなら、自然資源には限りがあるが、人の内なる能力、愛や創意工夫は無限だからだ。

「世界は一つ。我々は運命共同体の中で、外部性を取り入れてビジネスを行う必要がある。最大の持続的資源は人間だ。企業は、さまざまな課題に対し意識を高く持ち、組織的に資源を有効に使いながら、従来の利益最大化という考えだけでなく、自他を大切にする新たなビジネスモデルを模索すべきときにきている」

YKKの企業理念「Cycle of Goodness(善の循環)」の中核をなす公平性

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YKK 代表取締役会長CEOの吉田 忠裕氏

 YKKはアルミ建材メーカーで、ファッションを中心としたファスナー事業と、住宅建材などのAP(建材)事業を中核ビジネスに据える。ファスナーは世界シェア45%を占め、世界71カ国でビジネスを展開するグローバル企業でもある。

 いずれも、相手方ビジネスの一部分を構成するBtoBビジネスであり、性能、機能、装飾といったニーズは、顧客1社1社によって異なるため、マーケティングは、「ワン・トゥ・ワン」モデルを基本とする。

【次ページ】これからの企業にとって「信頼性」は競争優位性になる

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