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  • 2017/08/24

「日本一厳しい」芦屋市の屋外広告条例、「セレブの街」は守られたのか

高級住宅街として知られる兵庫県芦屋市で「日本一厳しい」といわれる屋外広告物条例が2016年7月に施行されて1年が過ぎた。最長10年の経過措置があるため、景観が一変したわけではないが、アーケードの大型広告や建物の壁面から突き出した銀行の看板が撤去されるなど、効果が少しずつうかがえるようになってきた。立命館大理工学部の笹谷康之准教授(景観計画)は「広告物規制など一定のルールができ、地域のイメージを高めることは、都市のアイデンティティを高める重要な戦略になる」とみている。市の目標は世界一美しい街。達成には住民や事業者の協力が欠かせない。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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屋外広告物条例の施行に先立ち、
自発的に広告を撤去した阪神打出駅前の打出商店街
(写真:筆者撮影)


打出商店街はアーケードの広告を自主撤去

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 市南部の若宮町、阪神電鉄打出駅前にある打出商店街は、条例の施行に先がけ、アーケード街の出入り口にあった広告3枚を自主的に撤去した。入口の看板には白地に緑で「打出商店街」の文字が書き込まれているだけだ。

 商店街は30店ほどの商店が営業しているが、アーケード内を歩いても派手な広告は見当たらない。商店街を歩いていた近くの主婦(65)は「商店街がすっきりした。広告でごちゃごちゃした雰囲気は芦屋に似合わない」という。

 出入り口の看板は大手食肉加工会社などの宣伝用。市から条例違反になり、3年間の猶予期間中に撤去を求められたことから、金田一打出商店会長(66)が「違反になるのが明らかなら、外しておいた方がいい」と判断した。

 松ノ内町のJR芦屋駅近くで今年7月、オープンした全国チェーンの居酒屋は、原色の黄色地に真っ赤なロゴをデザインしたおなじみの看板を淡い黄色とえんじ色に変えた。サイズも小さくし、通常より派手さを落としている。

 広告看板は目立たなければ意味がないが、条例に合うようあえて控えめにしたわけだ。メニューは他地区の店舗と同じなのに、店舗がシックな外観のビルに溶け込んだように見えるせいか、上品な雰囲気を漂わせる。

 JR芦屋駅前の船戸町と阪神芦屋駅近くの公光町では、都市銀行が2016年11月、条例に抵触する突き出し広告2件を撤去した。ともに縦7メートル、幅1メートルで、銀行名が書き込まれていた。銀行の広報担当者は「条例施行を受け、自主的に対応した」と述べた。

突き出し広告には日本一厳しい規制

 市の屋外広告物条例は市内を山麓地域、住宅地域、複合地域など7つの規制区域に分け、それぞれの区域ごとに看板や文字の大きさ、広告に使用できる色などの基準を設けた。高級住宅地の芦屋らしい景観を守るのが目的だ。

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芦屋市屋外広告物条例の禁止事項

 すべての屋外広告物に共通する基準として、形や色彩を周囲の景観と調和させ、照明を用いる広告は夜の景観にも配慮するよう求めた。広告物を掲示できない物件として橋やトンネル、公衆電話ボックスなどを挙げている。

 さらに、屋上の利用やネオンサイン、回転灯、LEDの使用、アドバルーン、蛍光塗料の使用、派手な原色を組み合わせた広告は、全地域で禁止した。広告中の文字の大きさは1文字当たり1平方メートル以下に制限している。

 条例の中で最も厳しいのが、突き出し広告の面積をJR芦屋駅周辺や国道2号線沿いなど商業施設が最も集積している広告物誘導特別地域で1平方メートル以下に制限した点だ。景観規制の先進地である京都市では、最も規制が厳しい区域で突き出し広告の面積は3平方メートル以下。これを上回って全国一厳しい規制になる。

 違反者には最高で50万円以下の罰金が科せられるが、既存の広告については条例施行から3~10年の猶予期間が設定された。撤去や改修の際に市に申請すれば、助成制度を受けられる。条例の施行後、違法看板がどれだけ残っているかは正確に把握されていないが、市都市計画課は「早急に集計し、9月の市議会で報告したい」としている。

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