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  • 2017/10/18 掲載

日テレプロデューサー「カミングアウトでパワー発揮」--work with Pride 2017詳報

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同性パートナシップ制度の導入が全国的に広がり、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的少数者)の認知・理解が徐々に広がっている。その一方、放送番組で同性愛者を揶揄する内容があったとして、フジテレビジョンの社長が謝罪するなど、誰もが生きやすい多様性のある社会のあり方が引き続き問われている。そうした中、国際的なカミングアウト・デーである10月11日、職場におけるLGBTの働きやすさを考えるイベント「work with Pride 2017」が経団連会館において開催された。ここでは、日本経済団体連合会、米国最大の人権団体「Human Rights Campaign」、IBM、ソニー、freee、日本テレビ(日テレ)の取り組みをお伝えする。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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経団連会館で開催された「work with Pride 2017」。総勢500名もの関係者が集まった。

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国連人権理事会は「SOGIに関する独立調査官」を設置

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 経団連は今年5月、企業におけるLGBTの適切な理解と知識の共有・認識・受容に向けた取り組みを推進すべく、「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」という提言をまとめている。

 日本経済団体連合会 女性の活躍推進委員会 企画部会長であり、野村アセットマネジメント執行役専務兼チーフ・リスク・オフィサーでもある中川順子氏は「社会全体の生産性向上を図るためには、多様な人々がさまざまな分野で活躍し、能力を最大限に発揮できるダイバーシティ・インクルージョン社会の実現が不可欠です。経団連は、女性活躍のみならず、男性を含めた働き方改革や、若者・年配者・外国人の活躍支援、バリアフリー社会の実現などに取り組んできました。今後も関連団体と連携を図っていきたい」と力強く語った。

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日本経済団体連合会 女性の活躍推進委員会 企画部会長
野村アセットマネジメント
執行役専務兼チーフ・リスク・オフィサー
中川順子氏

 東京都知事の小池百合子氏、「LGBTに関する課題を考える議員連盟」会長の馳浩氏のメッセージに続き、国連人権理事会で「SOGI」(性的指向を意味するSexual Orientationと性自認を意味するGender Identityの頭文字を合わせた言葉)に関する独立調査官を務めるウィティット・ムンタボーン(Vitit Muntarbhon)氏のビデオメッセージが流された。

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国連人権理事会 SOGIに関する独立調査官 ウィティット・ムンタボーン(Vitit Muntarbhon)氏

 この「国連人権理事会 SOGIに関する独立調査官」は、SOGIに対する差別や暴力から人々を保護するために、国連が昨年設けた役職だ。同氏は1年間の活動を振り返り、「アルゼンチンなどの国を訪問し、グローバル報告書をまとめ、被害者の苦情を受け付けて保護に努めました。さらにグローバルコミュニティに対し、会議や教育プログラムなどのサービスを提供してきた。これらは国家、NGO、政府間組織のもとで協力して行われました」と語った。

 また同氏は、今後の取り組みについても触れ、「日本はSOGIに関して大躍進を遂げました。市民社会がPrideに対して多くの措置を講じたことを称賛したいです。これを他のアジアの国にも伝えていただきたい。人権理事会がLGBTについての国際基準としてガイドラインを発行したので、それを最大化し、民間とつながっていきたいです。これにより人権を守り、差別を払拭するために行動あいたいと考えています。合意に基づく同姓愛も合法化すべきで、その支持を求めたいです」とまとめた。

米国最大の人権団体HRC代表「LGBTQの購買力は9,170億ドル」

 米国最大の人権団体である「Human Rights Campaign」(通称HRC)の代表を務めるチャド・グリフィン(Chad Griffin)氏は、LGBTQ(LGBTに加え、自身の性自認や性的指向が定まらないQuestioningも含めた言葉)のカミングアウトの必要性をビジネスの側面からも訴えた。

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Human Rights Campaign 代表 チャド・グリフィン(Chad Griffin)氏

「自身がカミングアウトをすることで、多くの人に勇気を与え、知り合いも自ら学んで、変われるチャンスになります。ビジネス面でも、LGBTQがカミングアウトすることで生産性が上がり、彼らの能力を引き出だし、その命を救うことにつながります。米国でのLGBTQの購買力は9,170億ドルと推計されています」(グリフィン氏)

 日本でも最近になって、日本航空が同性カップルもマイルを共有できるようにした。こういった取り組みが広がっている。

「ダボス会議では、企業にとってLGBTQが重要なことを主張し、その平等のために、コカ・コーラやP&Gなどと世界企業連合を発足しました。日本でもパナソニックやソニーなどの先進企業は、同性パートナーに配偶者と同等の手当てを支給することを決めています。企業平等指数において、新たなベンチマークを提供したいです」(グリフィン氏)

 とはいえ、まだ世界を見渡すとLGBTQへの偏見も少なからずあるようだ。アゼルバイジャンやエジプトなどの国々でLGBTQの不当逮捕が起きている。米国でさえ、有色人種のトランスジェンダーが殺害される事件が起きている状況だ。

 「平等性の訴えは、今後も進めなければならなりません。周りに仲間がおらず、沈黙する人々も多い。しかし彼らにも未来があることを伝えたい。ロバート・ケネディは『不平等を砕くとき、さざ波が起こり、それが潮流になって、迫害の壁を打ち破る』と語り、『声なき人々』のために戦いました。まさに皆さんは希望のさざ波です。我々は、皆さんと手をたずさえて進んでいきます」と発言し、会場の聴衆に感謝の意を表した。

【次ページ】金曜ロードShow!プロデューサーはカミングアウトして活躍を模索

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