- 会員限定
- 2017/10/18 掲載
日テレプロデューサー「カミングアウトでパワー発揮」--work with Pride 2017詳報
国連人権理事会は「SOGIに関する独立調査官」を設置
日本経済団体連合会 女性の活躍推進委員会 企画部会長であり、野村アセットマネジメント執行役専務兼チーフ・リスク・オフィサーでもある中川順子氏は「社会全体の生産性向上を図るためには、多様な人々がさまざまな分野で活躍し、能力を最大限に発揮できるダイバーシティ・インクルージョン社会の実現が不可欠です。経団連は、女性活躍のみならず、男性を含めた働き方改革や、若者・年配者・外国人の活躍支援、バリアフリー社会の実現などに取り組んできました。今後も関連団体と連携を図っていきたい」と力強く語った。
東京都知事の小池百合子氏、「LGBTに関する課題を考える議員連盟」会長の馳浩氏のメッセージに続き、国連人権理事会で「SOGI」(性的指向を意味するSexual Orientationと性自認を意味するGender Identityの頭文字を合わせた言葉)に関する独立調査官を務めるウィティット・ムンタボーン(Vitit Muntarbhon)氏のビデオメッセージが流された。
この「国連人権理事会 SOGIに関する独立調査官」は、SOGIに対する差別や暴力から人々を保護するために、国連が昨年設けた役職だ。同氏は1年間の活動を振り返り、「アルゼンチンなどの国を訪問し、グローバル報告書をまとめ、被害者の苦情を受け付けて保護に努めました。さらにグローバルコミュニティに対し、会議や教育プログラムなどのサービスを提供してきた。これらは国家、NGO、政府間組織のもとで協力して行われました」と語った。
また同氏は、今後の取り組みについても触れ、「日本はSOGIに関して大躍進を遂げました。市民社会がPrideに対して多くの措置を講じたことを称賛したいです。これを他のアジアの国にも伝えていただきたい。人権理事会がLGBTについての国際基準としてガイドラインを発行したので、それを最大化し、民間とつながっていきたいです。これにより人権を守り、差別を払拭するために行動あいたいと考えています。合意に基づく同姓愛も合法化すべきで、その支持を求めたいです」とまとめた。
米国最大の人権団体HRC代表「LGBTQの購買力は9,170億ドル」
米国最大の人権団体である「Human Rights Campaign」(通称HRC)の代表を務めるチャド・グリフィン(Chad Griffin)氏は、LGBTQ(LGBTに加え、自身の性自認や性的指向が定まらないQuestioningも含めた言葉)のカミングアウトの必要性をビジネスの側面からも訴えた。「自身がカミングアウトをすることで、多くの人に勇気を与え、知り合いも自ら学んで、変われるチャンスになります。ビジネス面でも、LGBTQがカミングアウトすることで生産性が上がり、彼らの能力を引き出だし、その命を救うことにつながります。米国でのLGBTQの購買力は9,170億ドルと推計されています」(グリフィン氏)
日本でも最近になって、日本航空が同性カップルもマイルを共有できるようにした。こういった取り組みが広がっている。
「ダボス会議では、企業にとってLGBTQが重要なことを主張し、その平等のために、コカ・コーラやP&Gなどと世界企業連合を発足しました。日本でもパナソニックやソニーなどの先進企業は、同性パートナーに配偶者と同等の手当てを支給することを決めています。企業平等指数において、新たなベンチマークを提供したいです」(グリフィン氏)
とはいえ、まだ世界を見渡すとLGBTQへの偏見も少なからずあるようだ。アゼルバイジャンやエジプトなどの国々でLGBTQの不当逮捕が起きている。米国でさえ、有色人種のトランスジェンダーが殺害される事件が起きている状況だ。
「平等性の訴えは、今後も進めなければならなりません。周りに仲間がおらず、沈黙する人々も多い。しかし彼らにも未来があることを伝えたい。ロバート・ケネディは『不平等を砕くとき、さざ波が起こり、それが潮流になって、迫害の壁を打ち破る』と語り、『声なき人々』のために戦いました。まさに皆さんは希望のさざ波です。我々は、皆さんと手をたずさえて進んでいきます」と発言し、会場の聴衆に感謝の意を表した。
【次ページ】金曜ロードShow!プロデューサーはカミングアウトして活躍を模索
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR