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  • 2018/07/31

ライドシェアは過疎地を救う? 税金投入できない中で何をすべきか

全国の過疎地で住民の自家用車を使ったライドシェアの実証実験が広がりを見せてきた。京都府京丹後市、北海道中頓別町などで実験が進んでいたが、今年に入って兵庫県養父市でスタートしたほか、鹿児島県与論町でも8月から始まる。利用者の減少で機能しなくなった公共交通に代わる移動手段として期待が集まっているわけで、中央大研究開発機構の秋山哲男教授(都市交通計画)は「地方自治体が現状打開に税金を投入できないとなれば、住民の力を借りなければならない」と指摘する。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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北海道中頓別町のなかとんべつ住宅で利用者を乗せるドライバー。
弱体化した公共交通の代替手段としてライドシェアの実験を始める自治体が増えてきた
(2016年8月撮影、中頓別町提供)

中頓別町では1年半で延べ611回の利用

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 「役場まで1台お願いします」。配車専用ダイヤルに電話を入れると、迎えの車がやってくる。中頓別町で2016年8月、スタートした「なかとんべつライドシェア」。町内に16人いるボランティアのドライバーが自家用車で利用者を搬送する実証実験は、3月末までに延べ611回の利用があった。

 サービスの電話受付時間は午前9時から午後9時まで。基本料金が156円で、その上に距離料金か時間料金がかかるが、実費だけの無償運送のため、タクシーよりはるかに安い。

 配車には、ライドシェア大手米ウーバーのシステムを採用した。電話だけでなく、スマートフォンにウーバーのアプリをダウンロードすれば、画面上でも車を呼ぶことができる。利用者は主に高齢者で、買い物や通院が大部分だ。

 町は稚内市まで車で2時間ほどの道北にあり、面積の8割を山林が占めている。人口は約1,700人で、1970年の約5,400人から3分の1に減った。人口の40%近くを65歳以上の高齢者が占め、車を運転できない交通弱者が年々増えている。

 町内を通って稚内市と音威子府村を結ぶ路線バスが長年、住民の足になってきた。町は年間2,000万円ほどの補助金を出し、運行を支えているが、運行本数は1日に4往復しかなく、タクシーも町内に1台だけ。車を運転できない高齢者の暮らしを支えるのに心許ない状況が続いている。

 しかも一時、中頓別-音威子府間の路線バスを廃止し、乗合タクシーに移行する計画が地域公共交通会議で浮上した。沿線自治体の負担がバス以上に大きくなることが分かり、実現しなかったものの、行政だけで公共交通を支えきれなくなりつつある現実が浮き彫りになったわけだ。

 そこで町はライドシェアに目をつけ、国の地方創生加速化交付金を資金に活用した。中頓別町政策経営室は「ライドシェアは支え合いで地域再生を前進させる第一歩。住民の暮らしを維持するためにも取り組みを継続させたい」と意欲的だ。

京丹後市では地元住民がNPOで運行

 京都府北部の京丹後市丹後町でも、住民でつくるNPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が2016年5月から自家用車による運送サービスを始めている。ウーバーの配車アプリを利用した全国初の公共交通空白地有償運送で、月に60回を超す利用があり、2年目の乗車率は1年目を4%ほど上回ったという。

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 運行は丹後町内の移動と丹後町から市内の他地域へ向かうケースに限定され、他地域から丹後町への利用はできない。運行時間は午前8時から午後8時。運賃は最初の1.5キロまで480円で、それ以降は1キロ当たり120円が加算される。丹後町の京丹後市丹後庁舎から峰山町の京都丹後鉄道峰山駅まで2,100~2,300円。タクシー運賃の半額程度で済む。

 スマートフォンやタブレットでウーバーのアプリを起動し、近くにいるボランティアの空車を探すか、電話で予約すれば迎えに来てくれる。ボランティアは18人確保した。支払いは現金、クレジット決済とも可能だ。

【次ページ】相次ぐ公共交通の撤退、もはや行政の力も限界に

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