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  • 2018/09/04

人工知能の軍事利用で米国が大揺れ、グーグル従業員も「NO」の顛末

米国防省がAIに関する研究センターを設立することになった。目的はAIによる意思決定、国防戦略などの可能性を探ることだ。ここで、シリコンバレー企業との協力が不可欠になるわけだが、グーグルが反意を表明するなど、AIの軍利用への反感も根強い。一方で軍、すなわち国家が予算を捻出し積極的に開発体制を取ることでAI技術の飛躍的な進展も見込めるという側面もある。軍とAIはどんな関係を構築すべきなのか、米国の動きを見ながら考えたい。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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国防省のAIに対する支出(2012年度-2017年度)


国防省がAI研究センターの設立を発表

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 国防省の中のDIU (Defense Innovation Unit Experimental)がAI研究センター設立予定を発表したのが今年6月後半。

 その後7月11日にはシリコンバレーで設立へ向けてのミーティングが開かれた。センターそのものはJAIC (Joint Artificial Intelligence Center)と名付けられ、その名の通り国防省だけではなく広く業界の頭脳、アイデアを募り一本化していくことが目的だ。

 シリコンバレーでのミーティングでDIUのマシン・ラーニング部門の長であるフレンダン・マッコード氏は「我々はコンピュータに何が出来るのかについての大きな変動の中にいる。こうした時期にAI研究センターを設立することには大きな意義がある」と語った。

 またAIは国防にとって「軍備の管理、環境への影響、人材教育、ネットワーク防衛、軍関係のオフィス業務の効率化、人道支援、災害救助など、あらゆる分野で役立つものになる」という考えも表明した。

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国防省の要請予算

JAICが求める4つのこと

 現在のところJAICには4つの大きなテーマがある。具体的には以下の通りだ。

1.テクノロジーを意思決定に結び付けること
すなわち机上の空論ではなく実際的な結果をAIシミュレーションを用いることで迅速に予測すること。さらには国防職員、軍関係者などの「エンドユーザー」が技術を広く共有し、企業のようなアプローチで技術拡散、職員の教育を広げること。

2. 国防省のパートナーシップに広がりを持たせること
AI開発には企業、大学、同盟国などとの密接なコミュニケーションが不可欠となる。これにより伝統的あるいは非伝統的なアプローチが可能になり、JAICで得られた成果をパートナーにも還元できる。

3. AIに関する優れた才能の発掘と求心力の醸成
JAICはターゲットとなる目的に応じた「ワールドクラスの才能」を求めている。AI技術者だけではなくソフトウェア・エンジニア、プロダクト・マネージャーなどからなるチームを結成し、倫理や人道的な問題、さらには短期・長期のAIの安全性についての協議も行なっていく。

4. 国家安全戦略との提携
現在の国家安全戦略と協調し、軍の基本路線である平和の維持、国家防衛、世界情勢の安定化に向けての努力にAIの分野から貢献する。究極の目標として、AIをこれらの目的達成のためのステップの一環に位置付ける。

【次ページ】なぜグーグルの従業員はAI技術のペンタゴン提供を拒むのか?

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