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- 2019/04/17 掲載
世界経済フォーラム(WEF) 須賀千鶴センター長が語る「デジタル経済」の世界トレンド
IVIシンポジウム2019 -Spring- レポート
アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「
DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX - EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。
「第四次産業革命センター」設立の背景
須賀氏は、経済産業省時代に次官・若手プロジェクトをプロジェクトリーダーとして推進し、2017年5月に「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」の発表へと導いた後、現職に就任されています。本シンポジウムでは、「デジタル経済の動向と日本の立ち位置~ Society5.0の実現に向けて」と題して講演されています。
世界経済フォーラム(WEF)は、毎年1月のダボス会議(スイス東部の保養地ダボスで開催するWEFの年次総会)を主催している団体です。しかし、以前より、時代の最先端を走ってデータを活用し未来を語っていく人たちというのは、ダボス会議のメンバーに入っていないのではないのかという危機感がありました。
そこで、WEFでは革新的な新興企業や有力企業、政府関係者、学者、NGO、技術者などの未来志向のメンバーも集め、イノベーションの社会実装を阻む「ガバナンス・ギャップ」解消のため、2017年3月にサンフランシスコに「第四次産業革命センター」を設立しました。
国によるガバナンス・ギャップが相互のデータ流通を阻害しないために
一般社団法人 世界経済フォーラム 第四次産業革命センターは、WEFが経済産業省などと2018年7月に立ち上げた第四次産業革命センターの世界第1号の拠点であり、日本における次世代政策の検討組織として、経済産業省とのジョイントベンチャー形態で設立しています。今後、世界拠点として、インドには9月に、中国には10月に順次立ち上がっていきます。
第四次産業革命日本センターは、政府機関と企業が連携し、AIやIoTなどが産業構造の変化をもたらす第4次産業革命に関する課題の克服に取り組んでいます。プライバシー保護などのデータ政策、自動走行などのモビリティ、データに基づく精密な医療などのヘルスケアの3つを注力分野に選定。必要な規制や技術活用のあり方を提案しています。
Society5.0の世界へ向けた窓口として、各国の産学官が参画するプロジェクトを通じ、グローバルなルール・政策の枠組み、およびそれを実現するシステムのあり方を自ら積極的に模索・検証し、社会実装につなげるのがこの組織の目的です。
特に、国によるガバナンス・ギャップが相互のデータ流通を阻害しないように、さまざまな国々が、ある範囲の中で動けるようなガイドラインを制定することが重要です。
【次ページ】新たな分散型データガバナンスモデルの必要性
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