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  • 2014/06/09 掲載

日本NCR 諸星俊男 社長インタビュー:オムニチャネルは4軸で考える まずは顧客一元管理

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1878年、米国でレジスターが発明され、その6年後に設立された米NCR(National Cash Register)。その後、日本にもレジスターが輸入され、1920年(大正9年)に誕生したのが日本NCRだ。元々米国で流通・小売業界のIT化支援からその歴史をスタートさせたNCRは、後に対象領域を金融業界などにも広げ、現在ではコンシューマトランザクションの処理をいかに効率化するかという観点からのITソリューションを提供している。国内では現在“オムニチャネル化”への取り組みが進んでいる流通・小売業界が、一番のボリュームゾーンだ。日本NCRのビジネス展開について、代表取締役社長兼CEOの諸星俊男氏に話を伺った。
(聞き手は編集部 松尾)

金融業界と流通・小売業界を中心に、ハード/ソフトを組み合わせたSIサービスを提供

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日本NCR
代表取締役社長 兼 CEO
諸星 俊男 氏
──はじめにNCRの事業概要について、お聞かせいただけますか。

 NCR自体は今からちょうど130年前に米国で生まれました。実はIT業界でもっとも古い企業の1社です。日本での設立も1920年で、米国系の外資企業では一番古い歴史を持ち、東京オリンピックが開催される2020年に、ちょうど設立100周年を迎えます。

 元々NCRはキャッシュ・レジスターの提供、いわば流通・小売業界のIT化支援から業務を開始しましたが、その後、会計業務の支援、コンピュータシステムの構築支援という変遷を辿り、現在では主に流通・小売業界と金融業界の企業を対象に、さらにその先にいるお客さまのお客さま、即ち消費者との間に発生するトランザクションの処理をいかに効率化するかという視点からのITソリューションを提供しています。

 消費者の体験をベストにすることで、我々にとってのお客さま企業のビジネスを最大化するためのお手伝いをするというのがモットーですね。

 グローバルでの事業ポートフォリオとしては、売上全体の約50%が金融業界へのソリューション提供によるもので、たとえばATM(現金自動預払機)では世界一のシェアを持っています。いわば銀行の営業店舗へのソリューション提供で、これもトランザクション処理を効率化するためのものです。

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NCRのセルフレジ。日本でも本格的な導入が進んでいる
 次に売上が大きいのが流通・小売業界で、POSとその周辺システム、さらにはPOSデータを処理するためのバックエンドのシステム構築もご支援しています。またスーパーマーケットなどで使われているセルフレジは、グローバルでも日本でも70%以上のシェアを持っています。買い物を終えた消費者が自分自身で精算を行えるもので、米国ではセルフチェックアウトとも言われます。

 それからテレコム&テクノロジー業界には、カスマターサポートやコールセンタ、オペレーションなどのサービスを中心に提供しており、またトラベル業界では、空港における自動チェックインの設備では圧倒的に世界No.1で、ホテルでのセルフチェックイン設備もご提供しています。

──日本での事業での内訳を教えてください。

 日本では、流通・小売業界向けの売上がトップで55~60%を占めており、次が金融業界で35%、残りが他業種という構成になっています。ちなみにセルフレジは、国内ではイオンや西友にご導入いただいており、トップシェアを持っています。

 国内でのメインビジネスはシステムインテグレーション(SI)サービスで、我々はPOS端末やセルフレジといったハードウェアに加えて、ソフトウェアも提供していますが、自社製品だけで対応できない時には他社製品も利用してシステムを組み上げ、お客さまにトータルソリューションとしてご提供しています。

 NCRといえばハードウェアのイメージが強いかもしれませんが、日本NCRにおけるハードウェアの売上シェアは20%以下で、最も大きいのは、ソフトウェアとインテグレーションサービスです。その意味で日本NCRは、流通・小売業界や金融業界へのシステムインテグレータという言い方が一番正しいと思います。

オムニチャネル化は、技術/消費者ニーズ/コスト/タイミングの4軸で考える

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──流通・小売業界では今、“オムニチャネル”への取り組みが加速しています。この動きをどのようにご覧になられていますか?

 一般的に言われているオムニチャネルとは、実店舗やインターネットショッピングといった販売チャネルと、宅配や店舗受け取りといったデリバリー、そしてテレビCMやソーシャルメディアなどのプロモーション手段を融合して、消費者に最適な購買環境を提供することだと私は捉えています。

 しかし言葉の定義は人によっても違いますし、今後も変わっていくでしょう。何がオムニチャネルで、こうしなければならないと考える必要はまったくないと思っています。

 ただ一番初めに起こってくるのは、購買金額に応じたポイントを消費者に提供して、リピート購買に繋げるFSP(フリークエント・ショッパー・プログラム)をベースにした顧客の一元管理化だと見ています。

 今はまだ、流通・小売企業の多くで、実店舗の顧客IDとネットショップの顧客IDがほとんど融合されていません。これらを連携させることで、消費者一人一人の詳細なデータ、これがビッグデータということになりますが、それを取得することが可能となります。

 先進的な技術、消費者ニーズの変化、投資可能なコスト、そして施策を実行するタイミング。オムニチャネルへの取り組みは、この4つの軸を考慮に入れて、進めていくべきだと考えています。その中でもタイミング、時間軸はとても重要です。

【次ページ】日本の流通・小売企業はIT化が遅れているのか?

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