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  • 2014/08/11 掲載

EUとの国際連携も模索、スマートプラチナ社会は超高齢化の課題を解決できるか(後編)

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先ごろ開催された世界ICTサミット2014では、国内外から有識者が招聘され、ICTを活用したよりよい高齢化社会実現にむけて、情報交換が行われた。セッションの後半では、経済協力開発機構のシニア・ポリシー・アナリスト エレットラ・ロンチ 氏、欧州委員会 通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局H局長 ポール・ティマーズ氏が登壇。急成長を遂げるモバイル関連の医療・福祉アプリケーションや、高齢者が自律して活発に生きるための介助サービスロボットなど、スマート・プラチナ社会実現に向けた現在進行形の取り組みを紹介した。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

サービスを流通させるために、高速ブロードバンドの整備から

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OECD
シニア・ポリシー・アナリスト
エレットラ・ロンチ氏
 日本が経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)に加盟して50周年になるが、世界ICTサミットには、OECDからエレットラ・ロンチ氏が招聘され登壇した。

 同氏は、スマート・イノベーションによって、高齢化社会のニーズをいかに満たせるのかを予測することに取り組んでいる。ロンチ氏は「開発途上国では高齢化が進み、2050年には12人のうち8人が途上国の高齢者。まさにグローバルな問題になっている」と語り、このような状況において、OECDでは特に以下の問題にフォーカスしているという。

「まず高齢化によって公共支出に圧力がかかっていることだ。65歳以上の高齢者の多くは慢性疾患を抱えており、医療費や介護費用の上昇につながっている。さらに多くの国では労働人口が減少しており、家族構成の変化や、高齢者の孤立化、アルツハイマーといった痴呆の問題も表面化している」(ロンチ氏)

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 OECD加盟国では、ITのイノベーションによって、これらの問題を解決できると考えている。

 ロンチ氏は「各国政府ではインターネットをフル活用することでシルバー社会に対応しようとしている。いまビッグデータ革命が進んでおり、新たなチャンスも生まれている。ITインフラと福祉技術が融合した遠隔医療・介護などの新サービスも登場した。家庭内モニタリングにより、病院や介護施設への入所比率が大幅に減り、救急出動率も減少したという結果もある。しかし、これらのサービスを流通させるには、適切なパイプ、すなわち高速ブロードバンドが必要だ」と述べた。

 また世界的にモバイルユーザーが増加していることは問題解決への良い足がかりになる。これは先進国と途上国の両方でみられる現象だ。

「モバイル関連の新しい医療・福祉アプリケーションは、この5年間で30パーセントと急成長を遂げている。2017年には260億ドル以上の市場に発展するだろう。多くのスマート介護モデルを進める上で、ビッグデータやクラウド・ソーシングの活用は不可欠だ。OECDは2年間のプロジェクトを終え、データ手動型イノベーションによる福祉改善に関するレポートを10月に公開する予定だ」(ロンチ氏)

【次ページ】高齢化社会に本腰を入れるEU諸国

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