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  • 2015/10/09

北陸新幹線の金沢延伸から半年、予想以上の開業効果の「裏」で何が起きているのか

北陸新幹線が石川県金沢市まで延伸してから半年が過ぎた。石川、富山両県の主な観光地は人の波であふれ、金沢市の中心部は再開発ラッシュが続くなど、新幹線の開業効果が予想以上に地域経済を押し上げている。しかし、開業効果がいつまでも続くはずもない。すでに一部で不安の影が忍び寄っているばかりか、新たな問題が浮上しそうな雲行きだ。せっかく手に入れた新幹線を地域振興にどう生かすのか、「北陸の知恵」が試されている。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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北陸新幹線E7系「かがやき」
(写真:Cheng-en Cheng/flickr)

観光客が金沢に殺到

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 JR西日本によると、3月14日の金沢延伸から9月13日までの北陸新幹線利用者は約482万人。前年同期に在来線特急に乗車した人のざっと3倍に増えた。1日当たりの利用者は2万6,000人。シルバーウィーク中の9月18日から23日は、約24万人の利用があり、前年同期の4倍以上を記録している。

 新幹線開業に伴い、JRグループから経営分離された在来線は、石川県のIRいしかわ鉄道、富山県のあいの風とやま鉄道など第3セクター4社に分離された。IRいしかわ鉄道の普通列車乗客数は4-6月で、1日当たり2万7,000人。JR時代の2012年を4,000人上回った。

 石川県内の観光地は人出が急増した。石川県や金沢市などのまとめでは、金沢市にある日本3名園の兼六園の入場者は、3-8月で167万人。前年の同じ時期に比べ、4割も増えた。江戸時代の町家を復元したひがし茶屋休憩館も13万人と、9割近く増加する好調ぶり。連休や週末は市内の量販店、小売店に観光客が殺到、地元の人が買い物しづらいほどの混雑を示している。

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金沢市内主要観光地の人出(単位:人、上段が2015年、下段が2014年)
(出典:石川県金沢城・兼六園管理事務所、金沢市広報広聴課)


 NHK連続テレビ小説「まれ」の舞台になった輪島市の朝市には、4-8月で前年より3割多い34万人が訪れた。シティホテルの客室稼働率は県全体で80%を上回り、首都圏からの観光客でなかなか予約が取れない状態が続いている。

 一方、富山県では、県内きっての温泉地となる黒部市の宇奈月温泉が、3-7月で12万5,000人と、前年の4割増の宿泊客を集めている。黒部川に沿って走る黒部峡谷鉄道も8月末までに41万人が利用、前年を14%上回った。

各方面に予想以上の開業効果

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7月には北陸初となるアウトレット「三井アウトレットパーク北陸小矢部」がオープンした
(出典:グループセブ ジャパン報道発表)

 活況を見せるのは、観光面だけではない。金沢市の中心部では、再開発ラッシュが続く。片町地区では9月、再開発ビル「片町きらら」がオープンしたほか、JR金沢駅周辺では大型商業施設が新幹線開業に合わせて相次いでリニューアルした。武蔵地区でも昨年4月、大型店跡地に複合商業施設「ル・キューブ金沢」が開店している。

 富山県小矢部市では7月、北陸初の本格的なアウトレットモール「三井アウトレットパーク北陸小矢部」がオープンした。北陸エリア初出店の81店舗を含む173店舗が出店し、近県からも買い物客を集めてにぎわっている。

 厚生労働省によると、有効求人倍率も7月で石川県1.47倍、富山県1.50倍と、ともに全国トップクラスの高水準。新幹線の波及効果が雇用面にも好影響を与えていることをうかがわせた。日本政策投資銀行北陸支店の予測では、新幹線開業による年間の経済効果は石川県124億円、富山県88億円。今のところ、予測以上の効果が各方面に出ているようだ。

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