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  • 2015/12/01 掲載

マーケティングでのIoT活用法、グーグルとIBMの両社長が提言

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IoTに関するテクノロジーは飛躍的な進展を遂げており、マーケティングにも活用していくことが可能になってきた。しかし、そこで重要となるのは“モノをインターネットにつなげば何ができのるか”という視点ではなく、“顧客はどんな課題を解決してもらえればうれしいのか”をまず考えることだという。グーグル アジア太平洋地域担当のカリム・テムサマニ社長と日本IBM ポール与那嶺社長の提言を紹介する。

マーケティングでIoTを活用する環境は既に整っている

photo
日本IBM
代表取締役社長執行役員
ポール与那嶺 氏
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 「これから先のビジネスやマーケティングでは、デジタル化、そしてIoTの活用がより重要になってくる。デジタルタッチポイントをいかに効果的に採り入れて利用していくか。それは日本ではまだ緒に就いたばかりだ」

 そう指摘するのは、「ワールド・マーケティング・サミット・ジャパン2015」に登壇した日本IBM 代表取締役社長執行役員のポール与那嶺氏だ。

「しかし、いいニュースもある。テクノロジーはすべて整っている。それも手頃な値段で入手可能だ。しかも使いやすい。2年前の環境とはまったく異なる」(与那嶺氏)

 IBMでは、2014年12月にIBM SoftLayer(=IaaS)をベースとするパブリッククラウドデータセンターを東京に開設した。全世界に58あるデータセンタの1つで「世界中の顧客に利用してもらえるよう接続されている」。さらにこのクラウドインフラ上でIBM Bluemix(=PaaS)も提供。「顧客が非常に素早く新しいアプリケーションを作ることができる環境も用意した」(与那嶺氏)。

 このIBM Bluemixには、同社の提唱する“コグニティブ・コンピューティング”のエンジンであるIBM Watsonも含まれている。コグニティブ・コンピューティングとは、さまざまな情報から学習し、自然対話形式で人間の意思決定を支援するコンピューティング技術のことで、端的に言えばWatsonはビッグデータ解析用のソフトウェアだ。

「2016年3月を目標に、Watsonは日本向けに完全にローカライズされる。そうすれば日本でもIoTデータ分析の幅がさらに広がっていくだろう」(与那嶺氏)


 さらに現在では、各種センサーやビーコンのパフォーマンスが向上し、逆にコストは下がっている。

「今では、マーケティング担当者がやりたいと思ったことは、わずかなコストでほぼ実行できるようになった。あと足りないものは、“実用的で利益の上がるマーケティングモデル”だ」(与那嶺氏)

今すぐIT予算の一部を、イノベーションへの取り組みに回さなければならない

 IDCのグローバル調査によれば、調査対象企業の61%が積極的にIoTを採り入れており、2020年までにIoT関連の支出は3兆ドルにのぼり、また300億台のデバイスがインターネットに接続されている状態にあるという結果が出ているという。

「日本はモノづくりで世界1位の国だと言われているが、IoTはメーカーが“サービス企業”になり得るユニークなチャンスを提供している。たとえば米GEは、製品から得たデータを継続的に分析して新たなサービスを作るベースとしており、それはマーケティング戦略にも繋がっている」(与那嶺氏)


 また日本の一大産業である自動車分野なら、走行データや搭載機器類の状態を示すデータなどを収集/分析することで運転の安全性を劇的に高め、メンテナンスも楽にすることができる。

「しかしそれだけではない。ドライビングエクスペリエンスも各ドライバーに合わせて変更できるようになり、最大限の省エネも実現できるはずだ。自動車メーカーが売るのは、もはや自動車そのものではなく、スマートな“トランスポーテーションサービス”だ」(与那嶺氏)

 与那嶺氏は、こうした未来は「IoTとデジタル化ですべて可能になる」と強調する。

「だからIoTが自社のビジネスをどう変えるのかを、真剣に考えなければならない。しかし実用的で利益の出る新たなビジネスモデルを探るのには時間がかかる。今こそ、行動すべき時だ」(与那嶺氏)

 そのためには、「既存のIT予算の一部を、さまざまな実験やイノベーションを起こすための取り組みに使わなければならない」と与那嶺氏は続ける。

「IoTとデジタル化の技術を使うことで、マーケティングのプロセスやターゲットに届けるメッセージも、よりパーソナルでシームレスなものに劇的に変わるはずだ。顧客はそうなることを期待している。今すぐ取り組まなければ、日本企業は顧客を失うリスクを負うことになるだろう」(与那嶺氏)

【次ページ】マーケティングIoTは、モノ中心ではなく“人ありき”で考える

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