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  • 2016/06/20

IoTで「高齢者の見守り」支援、富山県氷見市が「低コストで」実現できたワケ

地方を中心に過疎化や高齢化が大きな課題となっている。こうした中、富山県氷見市の久目地区では地域の課題を自分たちで見直し、生活環境を改善しようと住民たちが知恵を出し合っている。2014年に立ち上がった「Code for Himi」とも協力して高齢者の生活改善にICTを取り入れるなど、先進的な取り組みにも積極的だ。今回はその取り組みの中からIoT技術を活かしたユニークな見守り支援システムについて紹介したい。

フリーライター 重森 大

フリーライター 重森 大

メインの活動フィールドはエンタープライズ向けITだが、ケータイからADCまでネットワークにつながるものならなんでも好きなITライター。現場を見ることにこだわり、毎年100件近い導入事例取材を行ってきた。地方創生の機運とともにITを使って地方を元気にするための活動を実践、これまでの人脈をたどって各地への取材を敢行中。モットーは、自分のアシで現場に行き、相手のフィールドで話を聞くこと。相棒はアメリカンなキャンピングカー。


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富山県氷見市の久目地区では定期的に地域の課題を話し合う「久目地区夜なべ談義」が開かれている

自分たちの地域、暮らしをよくするために数々のアイデアを実践

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 富山県氷見市の久目地区では、定期的に地域住民が集まって自分たちの地域のことを話し合う「久目地区夜なべ談義」が開かれている。

 中心となっているのは、久目地区活性化協議会事務局長や久目地区社会福祉協議会長などを務める干場 雅勝氏だ。「久目地区夜なべ談義」の会場、久目地区交流館の館長でもある。

 筆者が訪ねた夜は、久目地区の課題について学ぶ「久目学び」も併催され、障がいのある方とともに生きていける地域づくりや、コミュニティバスの導入に向けた検討などについて議論が交わされていた。参加者は30名ほどで、30代からお年寄りまで年齢層も幅広い。

 議論を見ていて印象的だったのは、干場氏がビジネス的な視点を持って地域課題の解決に取り組んでいる点だ。地域の過疎化や高齢化を憂う感情論ではなく、現状をどのようにして打開していくべきか、参加者との意見交換を通じてさまざまな視点からアイデアを引き出していた。

 こうした議論から、実際にいくつかの取り組みも生まれている。たとえば、地域で行っていた買い物支援の注文に、タブレット端末を取り入れて効率化するといったことだ。さらに定着させるために、Code for Himiのメンバーを呼んで、地域の高齢者を対象としたタブレット端末活用の講習会を開くなどしてきた。

 その後、民生委員の報告書作成にタブレット端末を活用するなど、ITを使った地域の生活支援はさまざまな方向から考察が続けられている。

 タブレット端末を使えれば、オンラインショッピングで用事を済ませることも可能だが、受注や商品受け取りの場が地域住民同士の交流の場にもなっているため、人が介在する余地をあえて残しているのだという。

 また、自律分散型のIoT技術を使った高齢者の見守り支援にも取り組んでいる。過疎化や高齢化が進む状況を憂うのではなく、自分たちでアイデアを出し合い、必要な助力を方々に求めながら自活の道を探っている。

広く浅くカバーする低コストのIoTで高齢者を見守り

 久目地区の取り組みの中でも筆者の興味を引いたのは、IoTを使った「高齢者の見守り支援」だ。一人暮らしの高齢者の生活状況を知ることや、高齢者の徘徊は高齢化が進む地域共通の課題だ。筆者が住む地域でも、防災無線を通じて頻繁に行方不明の高齢者の情報が流されている。

 外出する高齢者がGPS付きのデバイスでも持っていればすぐに見つけることができるが、頻繁に充電しなければならないデバイスを常に携帯してもらうのは現実的ではない。デバイスの価格や通信費など、維持費の問題もある。町ぐるみで取り組むとなると、それぞれのデバイスから集められる情報を管理する中央サーバも必要となり、その維持費も考えなければならない。

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高齢者に持ち歩いてもらうIoTデバイスの一例

 しかし、実際にこうした高齢者を探す際には、GPSのような高精度の位置情報は必要ない。「○○さんの家の前で見かけたよ」「商店の前を北に向かって歩いているのを見たよ」などといった、精度の低い情報だけでも捜索には十分役立つものだ。

 だったら、その精度で位置情報を集める仕組みを作ればいいのではないか。そう考えて久目地区の高齢者見守りシステムの構築に協力したのが、Skeedだ。都内にある同社オフィスを訪ね、久目地区の高齢者見守りシステムで使われている技術について話を聞いた。

「久目地区の見守りシステムの最大の特徴は、中央サーバにデータを集約しないP2P型になっていることと、既存の通信網を最大限に活用していることです」(Skeed 技術開発本部 IoT室 柴田 巧一氏)

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Skeed 技術開発本部 IoT室 柴田 巧一氏

【次ページ】中央で管理する代わりにIoTデバイス同士をP2Pで結ぶ

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