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  • 2016/08/30

企業版ふるさと納税が開始、ニトリは夕張市の「救世主」になれるか

政府が本年度の目玉施策としてスタートさせた企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の第1弾事業に、福井、長崎など6県と、北海道夕張市、兵庫県神戸市など81市町村の合計102事業が選ばれた。自治体は個人版ふるさと納税で寄付の返礼品を競ったが、企業版で競うのは寄付の使い道。北海学園大経済学部の西村宣彦准教授(地方財政論)は「財源の乏しい自治体が努力次第で資金を得られるのが最大のメリット」と指摘する。地域貢献を通じてイメージアップを図ろうとする企業に対し、寄付金の使い道をめぐる自治体のアピール合戦が続きそうだ。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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ニトリは夕張市に14億円を「寄付」する

内閣府が第1弾として102事業を認定

 内閣府によると、企業版ふるさと納税は自治体の事業に企業が寄付すれば、寄付額の30%が法人税や法人住民税、法人事業税などから税額控除される仕組み。全額を損金にすると、約30%が戻ってくるため、合計約60%の税金が軽減される。

 企業は自治体の事業ごとに寄付でき、同じ自治体に複数回の寄付も可能。自治体は寄付を受けたい事業を盛り込んだ地域再生計画を内閣府に申請、認定を受けることが求められる。申請には最低1社以上の企業から寄付の内諾を取り付けておくことが必要だ。

 地方交付税を配分されていない東京都など一部自治体は対象外。政府は人口減少が進み、財政面で厳しさが増す自治体の財源とするため、2016年度から4年間の時限措置で導入した。

 第1弾は福井、岐阜、鳥取、徳島、長崎、宮崎の6県と、34道府県にある83市町村から計105事業の申請があった。内閣府が内容を審査した結果、年度内に事業実施しないなどとして取り下げられたものを除く102事業が認定された。

企業版ふるさと納税第1弾として認定された主な事業
自治体認定事業2016年度事業費(単位・千円)公表された寄付予定企業
北海道夕張市コンパクトシティの推進加速化と地域資源エネルギー調査144,416ニトリホールディングス
北海道東川町冬季観光誘客による地方創生推進プロジェクト18,520モンベル
宮城県石巻市交流人口拡大プロジェクト4,000
栃木県茂木町地域資源活用自立経済基盤創造戦略109,000トマル
京都府舞鶴市引き揚げの史実継承プロジェクト22,418ビルバンク
兵庫県神戸市メリケンパーク活性化事業45,000
和歌山県有田市文化の継承と国史跡及び歴史建造物再生と活用プロジェクト263西本商店、観潮
鳥取県江府町遊休農地を活かした6次産業化推進事業10,500サントリープロダクツ
長崎県地域の将来を担い支える若者の人材育成支援プロジェクト146,311チューリッヒ保険
大分県杵築市杵築市チャレンジ人材支援プロジェクト2,000文化シャッター
鹿児島県垂水市地域資源を活かした官民連携による人材育成・確保4,000リニューアブル・ジャパン
鹿児島県奄美市働きたい・暮らしたい・子育てしたい離島創生プロジェクト160,000
(出典:内閣府地方創生事務局資料などから筆者作成)

 認定事業の内訳は、地域産業の振興が74件、移住、定住の促進が12件、街づくりが10件、働き方改革が6件。102事業の全体事業費は323億円で、うち2016年度の事業予定額は47億円に達し、このうちの一部を企業からの寄付で賄う。

 内閣府地方創生推進事務局は「地域の実情に合わせ、非常にバラエティに富んだ事業の申請があった。各自治体とも新しい制度を積極的に活用してくれた」と総括した。

夕張市はコンパクトシティ、炭層メタンガス調査を推進

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 102事業の中で特に注目を集めているのは、夕張市のコンパクトシティ推進と、地下の石炭層に眠り、コール・ベッド・メタンと呼ばれる炭層メタンガスの採取調査だ。

 夕張市は2006年に353億円の赤字を抱え、財政破綻を表明した。借金返済のため「最高の負担と最低の行政サービス」といわれるほどの超緊縮財政に入り、破綻前に6校あった小学校を1校、260人余りいた市職員を100人以下に減らす一方、市民会館など公共施設を次々に廃止した。逆に、軽自動車税、水道料金など住民負担は限界まで引き上げている。

 もともと炭鉱の街で、石炭に代わる産業育成がうまくいかなかったことから、若者や子育て世代の市外流出が相次いだ。人口は最盛期に12万人近くを数えたが、破綻直前に1万3,000人、7月現在で8,900人まで落ち込んでいる。

 65歳以上のお年寄りが全人口に占める割合を示す高齢化率は、1月現在で49%に達し、全国の市部で最も高い。どこへも行けないお年寄りだけが取り残された形となり、街はゴーストタウンの様相さえ見せ始めている。

 人口減少と高齢化の進展に対応した街づくりや新産業の創出が急務なのだが、市税収入は年間にわずか8億円ほど。新規事業に回す予算などとてもないのが現状だ。

【次ページ】ニトリホールディングスが財政難の街に救いの手

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