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- 2016/09/30 掲載
訪問看護事業経営者に聞く「看護師のモチベーションの支え方」
中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。
公式サイト http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/
24時間ケアを必要とする子ども
訪問看護事業は、子どもから高齢者までを対象とし、主治医の指示で看護師が自宅での療養生活のサポートをするというもので、健康保険制度と介護保険制度の対象となっている。
居宅介事業は介護保険制度の下ケアマネージャーがサービスを調整する事業。こどもデイサービスは肢体不自由の児童へのサービスで、児童福祉法に基づく未就学児向け「児童発達支援」と、就学児童・生徒向け「放課後デイサービス」を行っている。
岩出さん曰く、「儲からない事業」なのだそうだ。では、その儲からない事業をやっていくモチベーションはどこにあるのか? そこにはプロとして、看護師としての思いがあった。
岩出さんが訪問看護の世界に携わったのは20年前のこと。「勤務していた小児科で家に帰れないお子さんをたくさん看てきました。中には心臓や肺、脳の疾患で呼吸が出来ず、気管から管を出して機械に繋ぎ、生命を維持している子供もいました。お子さんも、ご家族も、一緒に自宅に帰れないことを悲しがっていました」と話す岩出さん。
そういった子どもを抱える家庭では、親が24時間付き添わなければならない。そんな家庭を少しでも手助けができないかと、4人の看護師で立ち上げたのが「みらい」なのだという。
「心の通う看護」
いざ事業を始めてみると、思ってもみなかった問題に直面した。「利用者」と「看護師」のコミュニケーションだ。「看護師は仕事柄、患者さんに指導をすることが多く、どうしても上から目線になりがちです。そうして、忙しい業務の中で介護対象者や障がいのある方々に失礼な態度を取り始め、それが習慣化してしまう。これでは利用者は安心して身を預けられません」
「利用者が一番」という考え方は当たり前のようで、なかなか難しいことでもある。しがらみや長く続いてきた習慣などが障壁となり、利用者の声がおざなりになってしまうからだ。
「自分たちは利用者さまの一部しか看ていません。ご利用者さまのご家族は24時間ケアをされています。だから、看護をする人間が偉そうにするのはもってのほかです。私たちは24時間のオンコールで、看護をサービスを提供しますが、それは事業として、お金をいただいているから当たり前のこと。さらに上をいくサービスを実現するなら、心の通う看護が必要になります」
【次ページ】看護師のモチベーション
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