開閉ボタン
ユーザーメニュー
ユーザーメニューコンテンツ
ログイン

  • 会員限定
  • 2017/12/25

アナログゲーム市場が「クラウドファンディング」で盛り上がるワケ

スマホが普及し、デジタルゲームが広まる中、カードゲーム・ボードゲームといったアナログゲームに注目が集まっている。カードゲームはクラウドファンディングサイトのKickstarterで4億9,400万ドルもの資金が集まる最も人気のカテゴリとして知られ、クラウドファンディングはアナログゲームビジネスを始める恰好のプラットフォームとなっている。日本でも伸びるアナログゲーム市場だが、世界市場では150万ドル(1.7億円)も集めたとんでもないゲームがあった。

佐藤 隆之

佐藤 隆之

Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うと共に、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」http://ctoforgood.com/を運営。

photo
クラウドファンディングで製造を実現したSecret Hitler
(写真:MeoplesMagazine/flickr,CC BY-NC-SA 2.0)



アナログゲームに復権の兆し

関連記事
 ゲームといえば、据え置き型ゲーム機やPC・スマートフォンで楽しむデジタルゲームを想像する人も多いだろう。しかし、意外なことに、カードゲームや、複数人で盤上のコマを動かすボードゲームに復権の兆しが見られるのだ。

 米紙USA Todayでは「ボードゲームのルネサンス」という記事が掲載されている。

 同記事によると、戦略性のあるボードゲームを含んだ玩具市場は、2016年の米国・カナダで21%もの伸びを記録したという。

 米国以外でも同様のトレンドが見られる。日本ではカードゲーム・トレーディングカードが2016年に8.8%増の1,045億円を超えたという調査がある。

 2016年、ドイツのボードゲーム市場は前年比1割増の550億円に達した。 2017年10月に開催された世界最大のボードゲーム見本市SPIELには51か国から1100ブースが出展され、大きな盛り上がりを見せている。

 家庭用ゲーム及びPC用ゲームの世界市場は1兆1,531億、デジタル配信ゲーム市場は7兆8,445億円という規模。また、『ファミ通ゲーム白書2017』によると、家庭用ゲームとオンラインプラットフォーム市場を合わせた2016年の国内ゲーム市場は1兆3,801億円という規模だ。こうしてみると、アナログゲームの市場はまだデジタルゲームの市場には及ばないものの、いわゆる「アナログ」なゲームの市場も無視できないものになっている。

 紙やプラスチックから製造されたカードゲーム、ボードゲームと大規模なシステム開発を要するデジタルゲームでは、コスト構造が大きく異なるが、前者も有望な市場だと考えられないだろうか。

社会性・戦略性の強いゲームほど、仲間・家族と楽しみたい

 カードゲームが世界中で人気を取り戻してきた背景にはどのような理由があるのだろう。カードゲームやボードゲームの場合、家族や友人と物理的に顔を合わせてコミュニケーションをとりながら楽しむのが特徴だ。スマートフォンの普及によって、モバイルゲームを筆頭に音楽やゲームの聞き放題サービス等、1人で楽しむ娯楽が増えている現在、人と関わり合いながら時間を過ごす体験に価値が置かれるようになってきたと考えられる。

 オンラインゲームでも複数人のユーザーが協力しながら進行するものは多い。偶然ゲーム内に居合わせたユーザーと会話しながら敵を倒したり、目標を達成したりするところに醍醐味がある。その一方で、マナーの悪いユーザーに遭遇してしまうと途端にゲームが楽しめなくなってしまう。社会性・戦略性のあるゲームほど、誰とプレーするかが重要になってくるのだ。

 その点、カードゲームの場合、気心の知れた仲間と楽しむことができる。ゲームに習熟する程、技術の近いユーザー同士で競い合うところに喜びを感じるケースは多いだろう。また、Secret Hitlerのような賛否両論あるようなテーマの場合、似たユーモアのセンスを持っている人で集まった方が参加者の満足度は高い。

 ソーシャルメディアを通して、興味の近いユーザーを集めるのが容易になっているのも見逃せない。FacebookグループやMeetupなどのサービスを通じ、同じカードゲームに興味も持つユーザー同士が一か所に集まってゲームを開催するコミュニティも発展してきている。オンラインからオフラインへとつなげる、いわゆる「O2O」のような仕組みがカードゲーム市場を盛り上げている。

 YouTubeでは、ゲームを楽しむ様子を撮影した動画が公開され、人気を集めている。ゲーム制作会社による動画はもちろん、ゲーマーが自主的に作成した動画も多い。ルールが複雑なゲームの場合、実際にプレーしている様子を映したYouTube動画が説明書代わりになる。既存ユーザーにとっても、高度なテクニックを紹介するなど、オフラインで体験したプレーをオンラインに公開する楽しさが受けている。

画像
アナログゲーム(カードゲーム、ボードゲーム)のビジネスモデル

 カードゲームの特徴として「カスタマイズ性」も挙げられる。仲間内で固有のルールを設けて、本来の用途からアレンジするような使い方もできる。デジタルゲームには対応できないような柔軟性も魅力の1つだろう。

 電源の要らないゲームを対象にしたゲームの祭典「ゲームマーケット」では、企業が発売するカードゲームに加え、自作のゲームを発表するユーザーグループが多数出展している。趣味で考案したゲームを販売する製作者と、新しいゲームを買い求めるユーザーが直接交流する場となった。2016年12月に東京ビッグサイトで開催された同イベントには過去最高の1万2000人が来場した。

【次ページ】クラウドファンディングと相性の良いカードゲーム・ビジネス

コンテンツ・エンタメ・文化芸能・スポ... ジャンルのトピックス

PR

ビジネス+IT 会員登録で、会員限定コンテンツやメルマガを購読可能、スペシャルセミナーにもご招待!